どうして『自分で考えて行動するスタッフ』が育たないのか?

2022年10月15日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/403792

なぜ、「自分で考えて行動するスタッフ」が育たないのか? | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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成長しなくてもいい環境で成長することは、ほぼ不可能

 
人を作るのは「環境」であることは、まず間違いない。
 
成長せざるをえない環境に身を置いたら成長するし、成長しなくてもいい環境で成長することは、ほぼ不可能だと思います。

ちなみに、僕は、「手や足を動かせば(汗を流せば)成立する仕事」でスケジュールを埋めないようにしています。

理由は「手や足を動かせば成立する仕事」でスケジュールを埋めてしまうと、それで働いた気になるからです。

その環境で「ゼロからモノを作る」というのはメチャクチャ難しいんですね。

たとえば、毎日講演会の仕事が入っていたら、もう仕事した気になっちゃうんです。

「人も楽しませたし、お金も生んだし…俺、頑張ったでしょ」と他人に対しても、自分に対しても、どこかで思っちゃう。

そうすると、「新作を作る」というところに時間を割かなくなる。サボっちゃうんです。

なので、手や足を動かせば成立する仕事をカットして、「ゼロからモノを作らないと、自分の存在価値が無くなってしまう環境」にしています。

年間300日ぐらいは「今日は何してもいいですよ」という日で、一見、すごく羨ましいスケジュールですが、何してもいいけど、新作を作らないと、全てを失うんです(笑)。

「2週間、筆が進まない」とか平気であるので、そこそこ恐怖です。

だけど、その環境に追い込まないと、やらないんですね。

月並みですが、成長を願うなら「どんな環境にその身を放り込むか?」が大切になってくると思います。


一方で、「人は変わらない」というのもあるじゃないですか?

ときどき、「変われる人」が出てくるので、僕らはついついそれを期待しちゃいますが、しかし実際のところは「一度ついてしまった癖は剥がせない」というのがほとんど。

僕、CHIMNEYTOWNという変な会社で働いているんですけども、若手スタッフも多く、「新人教育」めいたものに立ち会う機会も多いので、今言った二つは一応押さえています。
 
 

途中から「自分で考えて行動しろ」と言われても「考え方が分からない」が現実

 
で、ここからが本題で、皆さんと一緒に考えていきたいところなんですけども…

たとえば、世の経営者さんに聞きたいのですが、言われたことしかやらない社員さんに対して、「自分で考えて行動しろ」と言い続けて、その結果、社員さん達が自分で考えて行動するようになりましたか?

おそらく、ほとんどの場合は、「言われたことしかやらない社員さんは、今日も、言われたことしかやらない」というところだと思います。

なので、「自分で考えて行動しろ」みたいなことを、毎年叫ぶことになる。

なんで、こんなことが起きているか?というと、ここからは僕の仮説なのですが…

新人の頃って、まずは「言われたことをやる」が基本じゃないですか?

新人が自分で判断したら間違いまくるので、会社側も、まずは「言ったことをそのままやれ」という風に扱ってしまう。

新人に裁量権は持たせない。

で、そつなくこなせるようになってきた時に、「裁量権を与える」というのが基本的なパターンだと思うのですが、おそらく「時すでに遅し」で、その時には「言われたことをやる」が癖づいてしまっていて、簡単には変われない。

会社って、最初は「言われたことをやれ」と言っているのに、途中から「自分で考えて行動しろ」と言い分を変える。

つまり、「自分で考えて行動できない身体にしたのは会社である」という話です。

会社にもよりますが、裁量権を持たせてもらえるまでって、入社してから平気で10年〜15年かかるじゃないですか?

10年〜15年も「言われたことをやってきた人」に「自分で考えて行動しろ」と言っても、「考え方が分からない」が現実だと思います。


早い段階で「裁量権」を若手に渡せるかが、自分で考えて行動する集団を目指す会社の宿題


「手を動かして働く」ということを「価値を創造する」というのは似て非なるもので、そこの切り替えは、「手を動かして働く」時間が長ければ長いほど、難しくなる。

「自分自身どうだったか?」と考えてみると、僕、19歳でこの世界に入って、基本、1年365日は休みなんです(笑)。

「いついつまでにコレをやってきて」なんて言われないんです。

「どうすれば自分に価値が発生するか?」は自分で考えなきゃいけないんです。

スケジュールも全部自分で切って、自分でネタを作って、キングコングの場合は、最初は公園にいたホームレスの方にネタを見てもらって、その反応を見て、改善して…を延々繰り返していました。

そこからオーディションを受けたりして、自分達の打ち出し方を考えて考えて、なんとか劇場のメンバーになることができて、最初の月のギャラが800円とかそんなとこ。

なので、最初は時給換算すると「2円〜3円」とか、その程度。

それでは食っていけないので、大急ぎでタレント価値を創造して…つまり「どうすれば、まわりが得をする状況を作れるか?」をひたすら考え、仮説・検証を繰り返す。

それを誰も教えてくれないんです。自分達でやっていくしかないんです。

今、考えると、少し特殊な環境だったのかもしれませんが、やっぱ、この世界に入った初日から「自分で考えて行動しなきゃいけない環境」にいれたのは大きかった。

これを会社に置き換えると、自分で考えて行動する集団を作りたいのであれば、会社は、なるべく早い段階で「裁量権」を若手に渡す必要がある。

当然、「裁量権を持った若手」はバッキバキにチャンスを潰しますし、ベラボーにお金を溶かします。

なので、「ここを我慢できるか?」というのが。自分で考えて行動する集団を目指す会社の宿題なんだと思います。
 
 

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CHIMNEYTOWNのホームページを、
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