「プラットフォーム」か「村」か。

2026年06月25日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/7955872

「プラットフォーム」か「村」か | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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アーティストに対する誠実さと繋がり

 
少しお知らせを兼ねて、今日は皆さんにとっても決して無関係ではない、大切な話をしたいと思います。
 
現在、北海道・日高の新冠町にある「太陽の森 ディマシオ美術館」が主催する公募展『DAA2026』の応募受付が行われています。
 
すでに募集は始まっており、締切は7月3日。
 
今からのご案内となると、既に作品をお持ちのアーティストの方々が主な対象になると思いますが、今回のアワードは大賞賞金が100万円。
 
条件に合う作品をお持ちの方は、まずは応募を検討されてみてはいかがでしょうか。
 
なお、今回は屋外展示を前提としたアートアワードです。
 
そのため、募集対象も「屋外に展示すること」を想定した作品となっています。
 
そもそも、なぜ僕がこのアワードをご紹介しているのか。
 
もちろん、「挑戦する人が世の中に出るきっかけを少しでも増やしたい」という想いは昔からあります。
 
しかし今回の経緯はもう少し具体的です。
 
実は、このアワードのプロデューサーは、僕が『はねるのトびら』時代に大変お世話になった方で、その方から直接、審査員のご依頼をいただきました。
 
僕は基本的に審査員のお仕事はお断りしています。
 
評価する立場よりも、挑戦する立場に身を置いていたいからです。
 
ただ、長年お世話になった方からのご依頼だったこともあり、「お断りする前に、まずは内容をしっかり見てみよう」と思い、企画書に目を通しました。
 
すると、このアワードには、まだ世の中に十分知られていないアーティストが次のステージへ進むための機会として、大きな価値があると感じました。
 
そこで今回はお引き受けすることにしたのです。
 
僕が「これは良い取り組みだ」と思った理由は二つあります。
 
一つ目は、「名誉」だけで終わらせていないことです。
 
アートの世界では、「評価されること」や「やりがい」が強調されがちですが、アーティストにも当然生活があります。
 
その点、このアワードは賞金100万円という形で、挑戦に対する対価を明確に用意している。
 
そこに、アーティストに対する誠実さを感じました。
 
そして二つ目は、「繋がり」です。
 
今回の審査員には、太陽の森ディマシオ美術館理事長の谷本勲さんや、東京藝術大学教授の山崎宣由さんをはじめ、美術界において大きな影響力を持つ方々が参加されています。
 
言うまでもなく、普通に制作活動を続けているだけでは、こうした方々と接点を持つ機会はそう多くありません。
 
そして、ここからが今日の本題です。
 
 

人間同士の信頼関係

 
昨日、Xにも投稿しましたが、これから何かに挑戦する人が理解しておかなければならない重要なポイントがあります。
 
それは、自分が挑もうとしている場所が「プラットフォーム」なのか、「村」なのかを見極めることです。
 
たとえばYouTubeやInstagramはプラットフォームです。
 
そこではアルゴリズムを理解し、再生数や拡散性を高めるための戦略を磨くことが重要になります。
 
求められるのは、いわば「プラットフォームのお作法」です。
 
一方で、ブロードウェイは違います。
 
もちろん競争はあります。
 
しかし本質的にはプラットフォームではなく、「村」です。
 
だからこそ、そこで成果を出すために必要なのは、作品を持ち込むこと以上に、まず村の一員として信頼を獲得することです。
 
以前Xにも書きましたが、ブロードウェイで前進するためには、お金の匂いがする前から現地に入り、人間関係を築き、信頼を積み重ねておく必要があります。
 
なぜなら、村の住人は、お金の話が始まった瞬間に現れる人間を信用しないからです。
 
しかし日本から挑戦する多くのチームは、ブロードウェイを「プラットフォーム」と捉えてしまう。
 
その結果、人間関係への投資ではなく、作品完成後のPR活動に資金を投じる。
 
けれども、それはプラットフォームの戦い方であって、村の戦い方ではありません。
 
そして、この構造は美術の世界にも少なからず当てはまると思っています。
 
美術界の重鎮たちは建前として様々な理想を語りますが、世界的に見ても、美術の世界は完全なプラットフォームではなく、極めて村的な性質を持っています。
 
人と人との関係性、誰が誰を知っているか、どのコミュニティに属しているか――そうした要素は、想像以上に大きな影響力を持っています。
 
僕はAI時代を迎えるにあたり、「アンカーを持て」と繰り返し伝えています。
 
アンカーとは、AIでは生成できない価値です。
 
その代表例の一つが、人間同士の信頼関係です。
 
誰と繋がっているのか。
どの土地で活動しているのか。
どのコミュニティの中で信用を積み上げているのか。
 
これらは今後ますます重要になっていくでしょう。
 
正直に言うと、5年から10年前の僕は、「公募展なんて関係ない」「SNSでバズった方が早い」と考えていました。
 
しかし現在は違います。
 
毎日、数百万、数千万という作品が生まれる時代です。
 
作品そのものが可視化されるハードルは劇的に下がりました。
 
だからこそ、単純な「バズ」には以前ほどの価値がありません。
 
むしろ、どのコミュニティに属し、どの信頼のネットワークの中にいるか。
 
その価値は相対的に高まっています。
 
今回のアワードは、作品を評価してもらう場であると同時に、「村との接点」を持つ場でもあります。
 
だからこそ、応募条件に合う作品をお持ちの方は、挑戦してみる価値があると思っています。
 
▼「太陽の森 ディマシオ美術館」が主催する公募展『DAA2026』のお申し込みはコチラから↓
https://test.k-horikawa.jp/dimaccio/
 
 

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