海外で仕事をする難しさ

2023年11月13日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/656856

海外で仕事をする難しさ | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/656856

 
 

まずは「ブロードウェイ村」の村民になる

 
ミュージカル『えんとつ町のプペル』のクリエイティブ合宿やら、映画イベントやらで、今日からしばらくはニューヨークにおります。
 
さて。
 
ニューヨークでの僕なんて、まだまだヒヨッコもヒヨッコなのですが、そのレベルですら、苦戦することだらけで、今日は僕らの現在地の共有と「海外戦の難しさ」みたいなところについてお話ししたいと思います。
 
まず、現状の共有から。
 
僕らには何か大きな後ろ盾があるわけでもなく、ブロードウェイでの戦い方のイロハを教えてくれる人なんてのもいないので、情報集めは勿論のこと、スタッフ集めも全て手探りの手作業でおこないました。
 
やってみて分かったことは「ブロードウェイは、日本から遠隔で攻め落とせる城じゃない」ということ。
 
これはよく言っていますが、ブロードウェイは「ブロードウェイ村」で、まずは村民になり、村の掟に従わないと何もさせてもらえないんです。
 
ここには「自由競争」なんて1ミリもなくて、ブロードウェイ村の村長からすると、ブロードウェイブランドはバッキバキの既得権益なので「自由競争」をする必要なんてない。
 
「俺たちが作ってるエンタメの方が素晴らしいでしょ、オラ!」とやったところで、「へー、そうなんですね。では、ブロードウェイ以外でお好きにどうぞ」みたいな感じです。
 
なので、繰り返しますが、まずはブロードウェイ村に入らなきゃいけない。
 
その為には、そもそも物理的に近くに住んでなきゃいけないので、アメリカに会社を作って、スタッフを住ませるところから始めました。
 
 

「ロビー活動費」を確保する

 
次に、僕らがブロードウェイ村(コミュニティー)に入る為に支払ったコストについても共有しておきます。
 
ココ、めっちゃ大事です。
 
今回、僕と共同演出(ディレクター)という形でチームに参加してくれているウィルは、映画『えんとつ町のプペル』のアメリカの配給会社の代表が「面白い人がいるから会わせたい」と引き合わせてくれて、そこで意気投合して、一緒にやることになったのですが、そういう出会いは「授かりもの」で、普通は待っていても向こうから出会いがやってくることはありません。
 
なので、CHIMNEY TOWNはブロードウェイでクリエイティブ合宿をした後に、キャストやスタッフ、そして、その友達もお招きしてパーティーを毎回おこなっています。
 
大変な人数で、お店を貸し切ってやるわけですから、それなりにお金はかかるのですが(NYの物価、バカ高いっ!)、それでもそうして出会うしか僕らのような外国人は村の中に入っていけない。
 
いや、他にも方法はあると思うのですが、僕らが試した限り、今のところは、この方法が一番手堅い感じです。
 
このパーティーで意気投合して、「一緒にやろう!」となったキャストやスタッフは少なくありません。
 
いわゆる「ロビー活動」ですね。
 
これが凄く大切なので、チームとしては、この「ロビー活動費」というものを確保しておいた方が良い。
 
これはハリウッド村でも全く同じで、僕の印象は、日本は、このロビー活動を甘く見ていて、韓国とかは、結構戦略的にロビー活動をおこなっているイメージです。
 
 

クリエイティブは負けてない

 
次にクリエイティブですが、本当に基礎からキチンと学んで来られた人ばっかりなので、すごい人もたくさんいるのですが、ここに関しては、めちゃくちゃフラットに見て「全然、負けてないな」という感じです。
 
先日の『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』しかり、自分達が作ったエンタメをお見せした時には「なんてものを作ったんだ!」とキチンと驚いていました。
 
なので、クリエイティブに関しては「手が届かない」と感じることはあまりなくて、そこがチームの支えになっていたりします。
 
信じきれるものが一つあるだけで、色々頑張れるなぁと毎回思います。
 
 

「文化の壁」は想像以上に高い

 
一方で毎回難しいのがコミュニケーションです。
 
これはもう誰が悪いわけでもなくて、生まれも育ちも宗教も文化もノリも全然違う人同士が集まっているので、リアルにあるのが「地雷の位置が違う」という問題です。
 
日本だとOKだけど、アメリカだとNGということもあるし、日本の舞台業界の常識がブロードウェイの非常識であることも、勿論、その逆もある。
 
ここが結構厄介で、時々、まったく悪気がないのに怒らせてしまったりすることがあります。
 
「え、そこで、そんなに怒っちゃうの?」という文化の違いからくるコミュニケーションエラーが結構あるので、ここには結構、手を焼きます。
 
日本語の脚本を英語に直す作業もナンジャカンジャで半年ぐらいかかったのかな。
 
とにかく、言語の壁は勿論のこと、文化の壁は想像以上に高くて、ここで気持ちが折れちゃうスタッフもいました。
 
この間にスタッフの入れ替わりもあって、現時点で僕の仕事は「原作・脚本・演出」、そして「エグゼクティブ・プロデューサー」です。
 
「エグゼクティブ・プロデューサー」という仕事に関しては任せられる人に任せたいと思っていて、「適任者が現れるまで、僕がやる」といった感じです。
 
そんな感じで今日からしばらくニューヨークにおります。
 
18日(18時〜)には『映画えんとつ町のプペル』の上映会&トークショーなんかもありますので、街で見かけたら、気軽にお声がけください。
 
 
【『映画 えんとつ町のプペル@N Y』の上映会&トークショーのチケットはコチラから→
https://japansociety.org/events/poupelle-of-chimney-town/
 
 

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