ミュージカル『タイタニーク』が現代エンタメの一つの結論すぎる件

2024年07月16日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/1299303

ミュージカル『タイタニーク』が現代エンタメの一つの結論すぎる件 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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7週間で予算回収したという『タイタニーク』。建て付けが本当によくできていて…

 
コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』での映画祭出席や、ミュージカル『えんとつ町のプペル』のミーティングで朝から晩までドタバタしておりましたが、昨日の夜、ようやく落ち着いたので、前から話題になっていたミュージカル『タイタニーク』を観てきました。
 
皆さんご存知の映画『タイタニック』をモチーフにしたミュージカルなのですが、タイトルが少し違って、『Titanique』なんです。
 
(※映画の方は『Titanic』です)
 
このことから、この作品が「パロディー」だということが分かると思うのですが、このミュージカル『タイタニーク』は基本的にはコメディーなんです。
 
上演時間は1時間40分あるのですが、最初から最後まで、ひたすらフザけ倒していて、タイタニック号が真っ二つに割れて沈んでいくシーンは「オモチャの船」でやっちゃってるんですね。
 
お客さんはステージ上のキャストを見ながら「お前ら、ずっと何やってんだよ(笑)」とツッコミ続けることになるわけですが、これ、建て付けが本当によくできていて、まず、物語の途中でチョイチョイ出てくるストーリーテラーが『セリーヌ・ディオン』なんです。
 
(※本人じゃないですよ。セリーヌ・ディオン役の役者さんです)
 
このセリーヌ・ディオンが、まずメッチャ喋るんです。
 
ガニ股で、ステージ上をズカズカ走り回って、本当にうるさい。
 
まず、ここで「セリーヌ・ディオンは、そんなことしねーだろ(笑)」があるんです。
 
「セリーヌ・ディオンをフリに使う」は反則技もいいところなのですが、その一方で、構造的に本当によくできているのが、セリーヌ・ディオンをストーリーテラーにしているので、『タイタニック』の主題歌である『My Heart Will Go On』以外のセリーヌ・ディオンの歌も歌えるんです。
 
「セリーヌ・ディオン目線で観たタイタニック」という設定なので、主人公の二人が恋に落ちるシーンで『To Love You More』とかを歌い出すんです。
 
その調子で、世界的にヒットしたセリーヌ・ディオンの曲ばかり流れて、お客さんも皆、曲を知ってるからメチャクチャ盛り上がるんですね。
 
ちょっと異常な盛り上がりです。
 
「皆が知ってる映画」「皆が知ってる曲」に照準を絞って作ってあって、なので美術セットとかはチープなのですが、そもそもパロディーだし、コメディーだし、お客さんは誰もそこを求めていない。
 
ブロードウェイの作品って(ピンキリですが)「2年上演されたら予算が回収できる」と言われているのですが、この『タイタニーク』は(今回の作品においての)余計なところに予算をかけていないので、7週間で回収ができたそうで、今なお連日満席で上演され続けている鬼コンテンツです。
 
 

「皆が知らないもの」に全体重をのせるリスクは、あらためて見直した方が良さそう

 
ここから学ぶことは、やっぱり「皆が知っている強さ」です。
 
「知っているからノれる」という単純な話ですが、翻って、たとえば日本国内の新作を見たときに「劇場に入るまで内容が分からない作品」がほとんどで、そういう届け方がほとんどです。
 
「続きは劇場で!」的な。
 
これだけエンタメの選択肢が増えた時代に、「当たりかハズレか分からない」という博打を打ってくれるお客さんは今はほとんどいない。…にも関わらず、「知らない曲」「知らないストーリー」を届けることを当たり前にしてしまっている。
 
ミュージカル『タイタニーク』は、「今の時代はそうじゃありませんから!」という強烈なカウンタカルチャーを打っていて、かつ、AIで『新作』の価値が下がり倒している時代に、「皆が知ってる曲」「皆の思い出が残っている曲」をベースに作品を構成していく打ち手は(好き嫌いはさておき)アッパレです。
 
皆が知っている曲で構成された「ジュークボックスミュージカル」というスタイルは昔からありますが、この「有名アーティスト」をストーリーテラーに据えることで、有名アーティストの名曲を網羅する‥というのは明らかに今の時代に合ったやり方なので、このパッケージは、今後、少し増えるかもしれません。
 
明らかにファンの方が「世界観を壊すな!」と怒りそうなシチュエーションですが、それでいうと『タイタニーク』も同じなわけで。
 
そこを受け入れてもらった『タイタニーク』の強さは、今のブロードウェイでは頭一つ抜けています。
 
繰り返しますが、AIで誰でも新作が作れる時代となった今、「新作」「皆が知らないもの」「皆の思い出がないもの」に全体重をのせてしまうリスクは、あらためて見直した方が良さそうです。
 
これからは「ゼロから作ること」よりも「過去に作られたものを上手く運用すること」にシフトしたクリエイターに光が当たりそうな気がしたニューヨークでの観劇体験でした。
 
 

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CHIMNEYTOWNのホームページを、
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【注意】
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