社長が「売れない商品」を作る惨劇!
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国民総アーティスト時代に、プロはどう生きるか? | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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『Midjourney』がある現代では「絵が上手い」の価値が落ちる
最近は、僕も含め、『Midjourney沼』にハマっている人も少なくないかと思います。
今、僕らのクリエイティブの現場では、「素人さんがAIを使って描いて、インスタグラムに投稿した『えんとつ町』を、プロの絵描きがチェックする」という動きが起きていたりします。
これ、本当に面白いですよね。
プロの絵描きが、主婦がAIを使って描いた絵を見て「すごいっすね」とか言っているんです。
僕なんかは「すごいっすね」の向こう側にいて、先日、サロンでおこなった3日間のワークショップで、サロンメンバーさんに追い抜かれてしまいまして、「すみません。あなたが描いた、この絵、とっても素敵なので、僕のインスタで紹介させていただいてもイイですか?」といった感じでサロンメンバーさんのスネを齧る始末でして、完全にポジションを失ってしまいました(笑)。
もう「サロンメンバーさんよりも絵が上手い」というマウントはとれなくなっちゃったので、「サロンメンバーさんよりもモテる」というポジションでマウントをとりたいと思います。
さて。
そんなこんなで、皆がプロ級の絵が描けてしまう時代が始まったわけですが、こうなってくると「絵が上手い」の価値がちょっと落ちてきちゃうのは容易に想像がつきます。
これは、「計算機」が世に出回った瞬間に、「暗算が得意な人」の価値が下がった…みたいなことだと思うのですが、一方で、『クックパット』や『クラシル』がどれだけ出回っても、世の飲食店は無くなっていないわけで、「プロの仕事が完全に奪われる」ということでも無さそうな気がしています。
じゃあ、「『Midjourney』がある現代において、プロの仕事はどこになるのかなぁ?」と考えるわけですが、一つあるのは『皆が描きたくなる世界を作る』というところでしょうか。
『Midjourney』をずっと触ってると、AIの癖(得意/不得意)がすごく見えてくるのですが、やっぱり「景色」は強いんですね。
油絵の風景画とかをイメージしていただけると分かると思うのですが、「うわ〜、綺麗! 写真みた〜い!」という印象を持つ絵でも、めちゃくちゃアップして見ると、結構、雰囲気なんですね。
窓から漏れる光とかも、オレンジ色と黄色をチョンと置いているだけだったりもする。
そこはミリ単位で描いていなくて、どちらかというと、「全体を見て、美しいか否か」みたいな感じで描かれています。
なので、街灯とかの線が綺麗な直線であるかどうかは、それほど重要ではない。
そういった感じなので、「ここはこの色を置いておくのが妥当だよね」みたいな感じで描いていくAIの得意領域なんですね。
よく見ると「柱が繋がってないじゃん」だったりするのですが、そこは気にならない。
一方で、「顔のアップ」とか「ポージング」とかは、ミリ単位のズレがメチャクチャ気になる領域で、ここは、まだまだ「なんか、変なところが出っ張ってるな」みたいなエラーが全然起きちゃってる感じです。
世界観を作るのはプロ、世界観をアップデートさせるのが一般の方
以上のことを踏まえると、これまで絵を描くのが得意じゃなかった方が『Midjourney』を使って描くのは、当面は「景色」が多めになってくると思います。
「私でも、こんな凄い絵が描ける!」が一番のネタなので、「仕上がりが凄い方」が選ばれる。AIを使って、なんだか顔のバランスがおかしい人物を描くメリットって、今のところは、あまり無いんですね。
皆がAIを使って景色を絵描き始めるようになる、と。
じゃあ、次に皆が考えるのは、当然「どんな景色を描こうかな?」だと思うんですね。
京都なのか、東京なのか、はたまたベネチアなのか。
でも、せっかく自在に世界を作れるわけで、それこそ、「絵」だと建築法に違反しているような建物だってバンバン作れちゃうわけで、そんな中、「実際に存在する街」を描こうとする人って、あまりいないと思うんですね。
『Midjourney』で富士山を描く人って、あんまりいないと思います。
それよりも、「私なりの○○」を描きたくなるハズです。
プロに残されている仕事というのは、この「○○」を作ることだと思います。
皆が描きたくなるような「景色のモチーフ」ですね。これを作ると強い。
なので「サイバーパンク」や「スチームパンク」は強いと思うんです。
皆は「京都✖️サイバーパンク」みたいな発注をAI にするので。
これは、すごく難易度の高い問題ですが、国民全員がアーティストになった時代は、皆が描きたくなるモチーフを作ったもん勝ちで、プロの絵描きサンは、そこを意識するといいと思います。
一応、『えんとつ町』もその勝負に片足を突っ込んでいるのですが、面白いことに、皆が「私なりの『えんとつ町』」を描くわけじゃないですか?
そこからヒントをいただくことが本当にたくさんあって、「世界観を作るのはプロ。世界観をアップデートさせるのが一般の方」みたいな感じになっていきそうな気配です。
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