経営者が「斬新なこと」をしたがる理由

2026年10月22日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/8333355

プログラミング言語「PHP」に重大な脆弱性が見つかって、ぴえん。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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僕が好きな言葉に「凡事徹底」があります。
 
「誰でもできることを、誰よりもやる」というイメージです。
 
自分自身、あまり器用なタイプではないので、誰でもできることを、誰よりもやるようにしています。
 
たとえば、僕よりも「手売り」をしている地球人はいないし、僕よりも「サイン本」を作っている地球人も、たぶんいません。
 
このあたりは才能やセンスではなく、自分で「やる」と決めるか、決めないかなので余裕です。
 
そんな僕ですから、いろんな経営者さんから相談されたときに、「まずは当たり前にやった方がいいことから手をつけましょう」とお伝えするのですが、多くの経営者さんは、そのアドバイスには耳を貸さず、とにかく「変化球」や「誰もやったことがないこと」を選ばれます。
 
そこで、今日は「変化球を投げたがる経営者」について考えてみました。
 
そもそも、なぜ多くの経営者は変化球を投げたがるのか?
 
理由のひとつに、「新しいことを始める方が、当たり前のことを徹底するよりも、心理的なハードルが低い」があると思っています。
 
たとえば、商品が売れないという相談があったとします。
 
このとき、まず検討すべきなのは、商品の魅力をきちんと伝えられているか、販売機会を十分に確保できているか、お客様との接点を増やしているか、といった基本的なことです。
 
ところが、こうした話をすると、経営者はあまり乗り気ではありません。
 
「もっと画期的なマーケティング施策はないか」 
「新しい市場を開拓できないか」 
「これまでにない商品を開発できないか」
 
そんな話を始めます。
 
もちろん、それらが有効な場合もあります。
 
ただ、そもそも今ある商品を十分に売り込んでいないのであれば、新しい商品を開発したところで、同じ問題が繰り返される可能性があります。
 
既存の商品の販売に苦戦している会社が、新商品の販売で突然、優れた成果を出せるようになるとは限りませんし、それどころか、新商品の開発に資金と人員を割くことで、本来注力すべき既存事業まで疎かになってしまうかもしれない。
 
つまり、問題の原因を解決しないまま、新しいことを始めているわけです。
 
では、なぜそんなことが起きるのでしょうか。
 
僕は、そこに「自己表現」の問題があると考えています。
 
新しいことを始めると、周囲から「面白いことを考えていますね」「斬新な取り組みですね」と評価されることがあります。
 
企画を発表するだけでも、一定の注目を集めることができます。
 
一方で、既存商品の販売数を増やすために、毎日お客様に声をかける。
地道に営業を続ける。
商品の説明を何度も改善する。
 
そうした仕事は、成果が出るまで評価されない。。
 
しかも、やっていること自体は、誰にでも理解できて、華やかさも、目新しさもない。
 
ずっと見ていると、成果を生み出すことよりも、自分が面白い人間であることを証明することに体重を乗せている経営者さんをよく見ます。
 
もちろん、経営者の創造性や野心が、新しい市場を切り拓くこともありますが、自己表現と事業成長は、分けて考えた方がいいと思います。 
 
事業を成長させるために必要なのであれば、誰もやったことがないことに挑戦すればいいし、既存の方法で十分な成果が見込めるのであれば、わざわざ新しい方法を探す必要はない。
 
大切なのは、手段の新しさではなく、目的に対して合理的な手段を選ぶことです。
 
 

 
そして、もうひとつ。
 
ここが、この問題の本質だと思うのですが、経営者が「変化球」や「誰もやっていない新しいこと」に走る理由は、そっちに行けば結果から目を背けることができるというのが大きいのだと思います。
 
「新しいこと」をすれば「面白い!」「新しい!」といった感じで、その時点で一定の評価をもらえるわけですね。
 
要するに、チヤホヤしてもらえる。
 
だけど、それはあくまで「アイデアが面白い」というだけで、「事業の成果」ではない。
 
経営者の仕事はアイデアを出すことではありません。
 
ちなみにプロデューサーの仕事もアイデアを出すことではありません。
 
「ありとあらゆる手を尽くして、どうにかこうにかして、結果を出すこと」です。
 
そして、多くの人間はこれができない。
 
「メンツを保ちたい」というのもあるのでしょうし、「面倒くさい」とか「傷つきたくない」が前に出てくる。
 
「繋がりがないなら、会食に行けよ」と言っても、2〜3回会食に参加しただけで、「僕ちゃん、会話に参加できなかった。ぴえん」みたいな感じで、「会食には意味がない」みたいな結論に逃げる。
 
本当はコミュ障を発動して、何もできなかった自分自身が原因なのに。
 
そういう経営者はずっと「アイデア」に逃げて、「変化球」に逃げて、「誰もやっていないこと」に逃げる。
 
そして、アイデアを提案したことを「成果」とする。
 
結論としては、「変化球」を投げたがる経営者の根底にあるのは「自己保身」なのだと思います。
 
もう一度、自戒を込めて言いますが、経営者の仕事は「アイデアを出すこと」ではありません。
 
「結果を出すこと」です。
 
応援しています。
 
 
 

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