「世界観」を創りたがる人々の末路

2023年03月14日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/488599

世界観を作りたがる人の末路 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/488599

 
 

車輪の再発明ほど無駄なことはない

 
上手くいっている話ばかりしても仕方ないので、今日は、ウチのプロジェクトの中で、あまり上手くいっていない(これから巻き返す)プロジェクトの実態を共有して、何かの参考にしてもらいつつ、ついでに応援してもらおうという下心満載の内容をお届けしたいと思います。
 
オンラインサロンメンバーならもう何百回も聞いていて、CHIMNEY TOWNのスタッフならば何千回も聞いているであろう僕の言葉で「あやかれ」という言葉があります。
 
「『0→1』の作業に走らずに、すでに走っている『1』を『100』にすることにキミの才能と時間を使いなさい」という話ですね。
 
Voicyのリスナーさんでも、1度や2度は聞いたことがあると思います。
 
これにはいくつか理由があるのですが、まず、ロジックで説明がつくところでいうと「車輪の再発明ほど無駄なことはない」というところです。
 
「車輪の再発明」というのは、【広く受け入れられ確立されている技術や解決法を(知らずに、または意図的に無視して)再び一から作ること】(by Wikipedia先生)です。
 
紙の資料を制作する時に、ホッチキスから開発しちゃうようなことです。
 
「いや、ホッチキスはすでにあるんだから、それは有り難く使わせてもらって、お前の時間は、もっと別のことに使えよ。じゃないと前に進まないだろ」と。
 
ダメな上司ほど自分がした苦労を部下にさせたがりますが、話を前に進めたいのであれば、部下にさせなきゃいけないのは「自分ができなかった苦労」です。
 
サグラダ・ファミリアなんて分かりやすいじゃないですか?
 
1882年の着工から今日に至るまで、同じ苦労をしている職人が一人もいないから、あの規模のものが出来上がっている。
 
初代の職人が「地ならし」を終わらせた後、二代目が「地ならし」をして、そして三代目も「地ならし」をしていたら、サグラダ・ファミリアは今日も更地のままです。
 
 
自分の目の前に「使えるものがある(あやかれるものがある)」ということは強烈な才能で、ほとんどの人はそんなもの持ち合わせていないんです。
 
なので多くの人は仕方無しに「0→1」をしているわけですが、もしも万が一、自分の目の前に使えるものがあれば使った方がいいし、あやかれるものがあればあやかった方がいい。
 
このへんの話はロジックで説明できるところなので、まぁ、納得してもらえると思っています。
 
 

「世界観を作る」ということは、努力でどうこうできる問題じゃない

 
問題は次です。
  
「『0→1』に手を出すな!」の一番の理由と言っても過言ではないと思うのですが、「0→1」って、要するに「世界観を作る(皆が参加したくなるようなゲームを作る・皆が実現したくなるような世界の設計図を描く)」ということです。
 
僕、そういうものを創り出す世界に身を置いている人間なのですが、元も子もないことを言っちゃうと、僕が知る限り、99.9999%の人間はそんなことできません。
 
ここは残念ながら「努力」とかじゃ無いんです。
 
と言われても、たぶん、多くの人はそれを認めたくないと思うんです。
 
だから、「0→1」をやりたがる人が後を経たないわけで。。
 
でも、こればっかりは本当に無理で、たとえばブロードウェイに行っても「世界観から作っている人」なんて本当に数名です。
 
「ビジュアルを作ればいい」という単純な話じゃなくて、そこに流れる音楽、コミュニティーのノリ、光、色味、匂い、そして空気のトーン…そういった数百、数千の要素が絶妙なところで重なって初めて「世界観」と呼ばれるものが生まれる。
 
そんなものは簡単には作れないんです。
 
これは「生まれ育った環境」が大きく作用しているように思います。
 
努力でどうこうできる問題じゃない。
 
そして、「見ている量」が少ない人ほど、「自分でも作れるかも」と勘違いして、「0→1」に手を出してしまう。
 
たぶん、「0→1」の作業がカッコ良く見えるんだと思います。
 
 

「0→1はやっちゃダメだぞ」一番近い距離で聞いていた子にすら…

 
なんで、こんな話をしているかというと、先日、CHIMNEY COFFEEという会社の代表の山邉君と喋ったんです。
 
彼の会社が今、アパレルを展開しているので、その話を。
 
で、どんなお洋服を作っているか見てみると、なんか「ことわざのパーカー」とかを作ってるんです。
 
山邉君曰く、「挑戦する人を応援したいので、前向きになれる『ことわざ』をデザインしています!」とのことなのですが、このラジオをお聴きの全員が今、ツッコんだと思います。
 
「なんで、『ことわざ』?」「突然、どした?」と。
 
彼の目の前には、自由に使える『えんとつ町のプペル』はあるんです。
 
今なら『バンドザウルス』もある。
 
いや、分かってますよ。
 
まさか僕、「プペル」の顔がデーン!とプリントされている「プペル100%Tシャツ」なんて着たくないですよ?
 
そんなのは絶対に着たくない。
 
だけど、匂わしてくれる程度ならニーズはあるし、そもそもCHIMNEY COFFEEの店舗デザインがそれなんです。
 
『えんとつ町』をかなり薄めて、だけど、ほんのり匂いを残している。
 
それによって、一般のお客様に加えて、えんとつ町のプペルのファンの方もお店に訪れてくださっている。
 
 
えんとつ町のプペルは「ベアブリック」さんとか、「♯FR2」さんとか、「コンバース」さんとかからコラボの話があって、そんな中、 CHIMNEY COFFEEは「前向きになれる『ことわざ』」で勝負を仕掛けてきている。
 
たぶん、打ち合わせで盛り上がったと思うんです。
 
「ことわざとか、良くない?」「いいね〜」と。
 
厳しいことを言うと、これこそが“世界観を作ることができない人が作る世界観”なんです。
 
もちろん、このことは本人には伝えました。
 
これ、何が上手くいっていないかというと、「0→1はやっちゃダメだぞ」ということを一番近い距離で聞いていた子にすら届いてない…まぁ、それぐらい「人を変えることは不可能だ」ということですね。
 
耳の痛い話をすると、あなたが世界観を作れる人間なのであれば、今、そんなところにはいないんです。
 
そんなの大手企業が年間1億円出してでも引っ張りたい人材なので。
 
ほっておくわけがない。
 
勿論、このことも何百回と言ってきたのですが、蓋を開けてみると、CHIMNEYの人間ですら「いやいや!やってみなくちゃ分からないじゃないか!」となっているわけで、こればっかりは難しいなぁと思っています。
 
「0→1をやりたい!」の引力はよっぽど強いみたいです。
 
でも、逆に言うとこれはチャンスでもあって、多くの人間は世界観を作れないのに、世界観の創造に憧れて、そこに時間を割いてしまうから、その間に、「あやかれるもの」に全張りすると一気に引き離せると思います。
 
日本だと今は伝統工芸の跡継ぎに嘆いているので、先人達が繋いでくださった世界観のバトンを受け継ぐ若手のポジションはガラ空きです。
 
 

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★iPhoneの場合
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→画面右上にある「三つの点」マークをクリックしたら、そこに『ホーム画面に追加する』が出るので、そこをポチッと!
 
【注意】
LINEアプリ(たぶんFacebookアプリも)でホームページを開いてしまうと『ホーム画面に追加する』が出ないので、その場合は、Google Chromeを立ち上げて、『https://chimney.town/』を入力して、そこから、★の手順でチャレンジしてみてねー!
 
 
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