詐欺師と会った感想
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https://voicy.jp/channel/941/391687
上手くいかない『自律分散型組織』の共通点。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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「チームのお金の使い道」を多数決で決めると、溶ける方向に向かう
2〜3日前に、『お金の使い方を多数決で決めようとする集団』の欠点として、「お金の使い方には知識・技術が必要で、それらを獲得していない人がお金を使ってしまうと(あるいは使う決定権を持ってしまうと)お金は一瞬で溶けちゃいますよ」という話をさせていただきました。
主にDAOの話ですね。
今日は、もう少し解像度を上げて、この話をさせていただこうと思います。
メチャクチャ重要な話です。
主張自体は前回と一緒です。
お金の使い方には知識・技術が必要で、すごく残酷な話ですが、ほとんどの人がお金を上手に使う知識・技術を持ち合わせていないので、「チームのお金の使い道」を多数決で決めてしまうと、チームのお金はどうしても溶ける方向に向かってしまいます。
で、そもそも「なんで、ほとんどの人はお金の使い方が下手なんだっけ?」というところなんですけども、まずは「浪費の経験はあるけれど、投資の経験がほとんど無い」というのが一点。
「100万円を投資して、150万円回収する」ということをやったことがないから、どれ(何)が回収できるもので、どれ(何)が回収できないものなのかが分からない。
そういう人達が多数決で決めてしまう「300万円の使い道」は、経験(データ)に基づいた結論ではなく、「当てずっぽう」や「会議で盛り上がったネタ」になってしまうので、どうしても溶けてしまう。
お金の使い方を知っている経営者の考え方
たとえば、「300万円は子供達に寄付しましょう」と誰かが言い出したら、「いいね」「いいね」と票が集まると思うのですが、お金の使い方を知っている経営者は、そうは考えないんですね。
お金の使い方を知っている経営者は「その目的は何なのか?」から考えて、「子供達を助ける為」という結論に至る。
ここまでは、お金の使い方を知らない人達と一緒だと思うのですが、経営者はここから「子供達を助け続けられる方がいい」と考える。
「明日も明後日も、来年も、5年後も、10年後も子供達を助け続ける」
「その為には、この300万円をどう使うのが正しいのか?」
と考えるわけですね。
で、結論としては「300万円を寄付」するのではなくて、300万円を使って、毎月10万円が生まれ続ける仕組みを作って、毎月10万円ずつ寄付をして、30ヶ月で300万円を寄付して、100ヶ月で1000万円を寄付する道を選ぶ。
300万円寄付するよりも、1000万円寄付できた方がいいじゃないですか?
お金の使い方を知っている経営者というのは、「300万円を使って、10万円を生み続ける仕組みの作り方」を自らの経験から知っているんです。
なので、「子供を助ける」という目的に対する、正しい打ち手としては、「300万円の使い道を皆で決める」ではなくて、「300万円の正しい使い方を知っている人に、300万円を託す」です。
エグい言い方をすると「お金の増やし方を知っている人に、お金を託す」です。
「託す人を多数決で決める」がいいかもしれません。
お金は、たとえ「寄付」に使うのであろうと、「浪費的」に使わないことがメチャクチャ重要である、と。
これは、知識・技術不足が招く問題。
「Nouns」には「お金の正しい使い方」を知っている人しかいない
そして、もう一点。
ここも自覚しておかなくちゃいけない問題があって、特に「DAO」とかをやっている人に向けてお話ししたいのですが…
世界的に有名なDAOでいうと、「Nouns」というDAOがあるんですけども、これはどういうコミュニティーかというと、「1日1体自動生成されて販売されるNFTのキャラクターの売り上げを、DAOにプールして、その使い道をDAOの皆で投票で決める」という、自律分散型組織のお手本みたいなコミュニティーなんです。
で、いろんなDAOを見ていると、皆、この「Nouns」のやり方を目指すんですね。
ただ、勘違いしちゃいけないのは、毎日「Nouns」から出るNFTのキャラクターって、(今、ちょっと分からないですけど)一体100ETHとか、200ETHとかザラなんですね。
日本円にすると2000万円とか4000万円とか。
つまり、Twitterのプロフィール画像を買うのにウン千万円を使える人達が集まっているコミュニティーです。
つまり、「Nouns」というコミュニティーには「お金の正しい使い方(増やし方)」を知っている人しかいないんです。
その人達がおこなう「多数決」なので、当然、お金は正しく使われる(活きた使われ方をする)んです。
「自律分散型組織」が「Nouns」を真似てもうまくいかない理由
そして、聞いたことある人もいるかもしれませんが、『マズローの欲求』と呼ばれる「人間の欲求」を五段階に分けたものがあるのですが、これ、下から順に「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」です。
「生理的欲求」というのは「食う」とか「寝る」とかです。
人間は、まずこの欲求を満たしたい。
この欲求をクリアした人が、次に「安全の欲求」を求める。
要するに「安心して暮らしたい」という欲求ですね。
ここをクリアした人が「集団に所属したい」「仲間が欲しい」という欲求を求め、それをクリアした人が「私を認めて欲しい」「高く評価して欲しい」と求め、それをクリアした人が、まわりの評価とかじゃなくて、自分が心から求めているもの(あるいは自分の使命)の達成に向かう。
で、日本の場合だと、ほとんどの人は、下から3番目と4番目の「社会的欲求」と「承認欲求」らへんにいます。
「お金欲しい」「フォロワー増やしたい」「もっと褒めて」「私の誕生日を祝って」的な。
このピラミッドの一番上の「自己実現の欲求」にいっている人はほとんどいません。
で、『マズローの欲求』では、この「自己実現の欲求」のもう一つ上があるんです。
それは「自己超越の欲求」です。
「食うものにも困らない。寝る場所にも困らない。生活の不安もない。仲間もいる。社会からも認められている。自分が心からやりたいこともやれている」という人が、最終的に到達するステージが「自己超越の欲求」なのですが、これは何かというと、見返りとか一切求めずに、そこに自分のエゴの一切なく、ただただ「世界を素晴らしいものにしたい」という欲求です。
「Nouns」に集まってる人達って、大体、このステージにいるんです。
だから多数決の結果が、世界の幸せの総量を増やす方向に向かうんです。
でも、ほとんどの人は「私を認めて欲しい」「もっとお金を稼ぎたい」じゃないですか?
そういう人達が「自己超越の欲求」のステージに入った神々のやり方を真似ても、そりゃ上手くいかない。
皆、自分の取り分、目先の取り分を優先しちゃうんだもの。
なので、「自律分散型組織」を設計する時は、「その自律分散型組織に参加している人達がどのステージの欲求を持っているか?」をキチンと把握しておく必要がある。
「お金の正しい使い方も知らない」「お金を稼ぎたい」「私を認めて欲しい」という人達が、「Nouns」を目指すのはお門違い…という耳の痛い話でございました。
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