「トークテーマ」に振り回される人生

2022年07月26日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/361544

「トークテーマ」に人生を振り回される多くの日本人 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/361544

今日は『「トークテーマ」に振り回される人生』についてお話ししたいと思います。
 
 

「解決」が目的ではなく「意見すること」が目的の人がいる

 
TKOの木本さんが結果的にハブとなって、5億円だか、7億円の投資トラブルが起きたことがニュースになりました。
 
これって、僕らがどれだけ議論したところで、5億円だか7億円を取り戻すことは不可能で、僕らができることと言えば、「そんな甘い話は無いから、気をつけましょうね」や「ちゃんと勉強しましょうね」ということを共有するぐらいだと思うんです。
 
「投資詐欺の手口って、そういうことね。OK、気をつけます」という。
 
それ以上の議論…つまり、「今回の詐欺に巻き込まれたタレントは誰と誰だ?」「その内訳はどれぐらいだ?」ということの掘り下げは、僕らの人生には全く関係ない。
 
その時間というのは、野次馬でしかない。
 
ただ、思いのほか、この話題は長引いている。
その背景には、岸田総理が「貯蓄から投資へ」と呼びかけていたことも一つあったと思うんです。
 
つまり、「投資」という言葉がホットワードであったタイミングで、木本さんの件があって、多くの人が、このトークテーマに参加することになった。
 
皆が「投資」について考えて、その学びを自分や子供達に落とし込むことは良いことだけれども、そのことを引っ張りすぎて、野次馬の領域に入って、ついには人格否定とかし始めると、それは不毛だと思うんですね。
 
有名人の人格なんて、自分の人生とは全く関係ないので。
そこを議論しても、何のプラスにもならない。
 
 
今回のような『参加しやすいトークテーマ』って、“最初は意味のある議論だったのに、気がついたら不毛な時間を送っていること”が多々あると思っていて、「なんで、そんなことになるのかな?」と考えてみたんですけども、たぶん、皆、自分の意見を言いたいんだと思うんです。
 
昔、野球中継を見ていた父ちゃんが、テレビの中のプロ野球選手に向かって、「なんで、その球に手を出すねん」みたいなことを言っていて、子供ながらに不思議で仕方なかったんですね。
 
父ちゃんのその意見って、自分の運動オンチっぷりや、お腹の贅肉は完全に棚に上げている上に、誰にも影響を及ぼしてないじゃないですか?
 
影響を及ぼしているとしたら、家庭内で、よく姉ちゃんとは「あの時の、『自分のことは棚にあげて、安全圏で、ご意見番になっている父ちゃん』って、ダサいよね」という話をしていました。
 
まぁ、影響が及んでいるのは、それぐらい。しかもマイナスな影響です。
 
にも関わらず、父ちゃんは連日、テレビの中のプロ野球選手に意見していたんです。
 
小学1年生でも「なんで、この人は、こんな不毛なことをしてるんだろ?」「それをやって、何が解決するの?」と思っているのに、当人は、かまわず意見を続けるんですね。
 
このナゾナゾの答えは、「『解決』を目的とした意見ではなくて、意見することが目的になる人がいる」というところだと思います。
 
でも、それって、メチャクチャ危険で…ということは、「参加しやすいトークテーマ」が目の前に現れた時に、その人は「意見をすることが目的」だから、参加しちゃうわけじゃないですか?
 
そこに皆の意見が集まることがプラスになるトークテーマならいいですが、「参加しやすいトークテーマ」って必ずしもプラスになるものばかりじゃないじゃないですか?
 
たとえば、「タレントの不倫」について議論する時間って、自分の人生にとって1秒も必要ない時間だと思うのですが、多くの人がタレントの○○さんの不倫について意見をする。
 
なんなら、怒り狂う人まで出てくる。
 
その間、「他人の不倫とかどうでも良くね?」と生産を続けている人と、どんどん差が空いていくわけですよね。
 
結果、自分を落とすことに繋がっている。
 
 

存在しない敵に意見を言い続けるハメに・・・

 
ちょっとエグい話をすると、今、日本の多くのメディアがカモにしているのは、「意見することが目的となっている人」です。
 
この人達に『参加しやすいトークテーマ』だけ与えていたら、再生回数が回るので。
メディアとしては、あまりコストをかけずに、稼げるんです。
 
そんな中、昨日、Twitterで、ちょっと面白いものを見つけたんです。
 
「#緊急事態宣言を出してください」というタグなんですけども、トレンドに入っていたんですね。
 
ここ数日の、コロナの新規感染者数の増加を受けて、生まれた「タグ」だと思うのですが、…でも、ぶっちゃけ、「緊急事態宣言を出してください」というタグに対して、どう思いましたか?
 
「もう、いいよ。緊急事態宣言は」と思った人、結構多いと思うんですよ。
「ちゃんと、海外のデータも見ろよ」と思った人もいるでしょう。
 
二年前なら「緊急事態宣言も必要なのかも」と思えたかもしれませんが、そんなことを続けた結果が今なので、僕らは「緊急事態宣言」の効力を疑っています。
 
でも、ツイッターでは「♯緊急事態宣言を出してください」がトレンド入りしている。
 
一体、どんな人が、どんな理由で、そんなことを言っているのでしょう?
覗いてみたら、すごく面白いことが起きていたんです。
 
「♯緊急事態宣言を出してください」というハッシュタグをつけて呟いている人の、約9割が「もう、いいって!」という意見なんです。
 
「いらんやろ!」とか「まじ、いい加減にしろ」とか。
 
緊急事態宣言を出して欲しい人はほぼほぼいなくて、「緊急事態宣言は意味ないって!」という人しかいない。
 
つまり、敵なんていないです。

意見はまとまっているのに、存在しない敵に怒ってるんです。
トークテーマに、まんまと乗せられてるだけです。
 
こういうことって、よくあるんです。
 
あんまり広告の邪魔はしたくないから言わなかったですが、ちょっと前に「さんぽセル」って話題になったじゃないですか?
重すぎるランドセルに「コロコロ」が装着できるアレです。
 
あれは、「重いランドセルを背負うことも学習の一つだ」みたいなスタンスをとる大人に対しての、子供のアンサーとして、出された。
 
で、あれに対して、皆、子供側の意見に賛同したじゃないですか?
 
「重いランドセルを背負うことも学習の一つだ」とか、「子供のうちからラクすることを覚えてはいけない」とか言う大人の意見に対して、「バカじゃないの?」と賛同した。
 
でも、皆さんにお聞きしたいのですが、皆さんの周りで、「重いランドセルを背負うことも学習の一つだ」とか、「子供のうちからラクすることを覚えてはいけない」とか言ってる大人、一人でもいました?
 
いないでしょ?
 
そんなこと言っているの、ヤフコメに参加している4〜5人のアホぐらいで、大人の一般的な意見じゃないですよね。
 
あれもまったく一緒で、そこに敵なんていないんです。
意見はまとまっているのに、存在しない敵に対して意見を言っている。
 
あれも、トークテーマにまんまとのせられてるパターンですね。
 
これは、本当に気をつけた方が良いと思っていて、今の日本って、ちょっと老いてしまったので、メディアの人間でも生産することを諦めてしまった人が多くで、だけど、その人達も食っていかなきゃいけないから…ということで、「意見することが目的となっている人をカモにして、コストをかけずに稼ぐ」が増えてきているので、ちゃんと気を張っておかないと、「存在しない敵に意見し続けて、一生を終える」みたいなところに陥っちゃうので、「意見癖」がある人は気をつけてください。
 
 

====================
CHIMNEYTOWNのホームページを、
スマホのホーム画面(待受画面)に追加する方法
====================

★iPhoneの場合
→画面下にある変なマークをクリックしたら、そこに『ホーム画面に追加する』が出るので、そこをポチッと!

★Androidの場合
→画面右上にある「三つの点」マークをクリックしたら、そこに『ホーム画面に追加する』が出るので、そこをポチッと!

【注意】
LINEアプリ(たぶんFacebookアプリも)でホームページを開いてしまうと『ホーム画面に追加する』が出ないので、その場合は、Google Chromeを立ち上げて、『https://chimney.town/』を入力して、そこから、★の手順でチャレンジしてみてねー!

▼西野亮廣の最新のエンタメビジネスに関する記事(1記事=2000~3000文字)が毎朝読めるのはオンラインサロン(ほぼメルマガ)はコチラ↓
 
\海外発行のカードが利用できるようになりました/
https://salon.jp/nishino

Salon.jp | 西野亮廣エンタメ研究所

https://salon.jp/nishino

▼Instagram版はコチラ↓
https://nishino73.thebase.in/items/57388605

シェアする