ライフワークを削るな

2022年07月25日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/360969

ライフワークを削るな。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/360969

今日は「ライフワークを削るな」というテーマでお話ししたいと思います。
 
 

「他人軸で生きている人」は気付いたらいなくなっている

 
僕、一応、芸能の世界にも少しだけ首を突っ込んでいるのですが、芸能の世界ほど、求められることがコロコロ変わる世界ってないんです。
 
「ひな壇」の能力が求められることもあれば、「ショートネタ」が求められることもあれば、「コメンテーター」としての能力が求められることもあります。
 
ホント、コロコロ変わるんです。
 
そんな中、「最終的に仕事が無くなる人」の共通点というのがあって、それが「すべてのニーズに応えようとする人」です。
 
悪く言うと「他人軸で生きている人」です。
 
僕らなんて「使われてナンボ」の生き物ですから、当然、ニーズには応えなきゃいけないのですが、ニーズの応え方って、「一つのジャンルのニーズにメチャクチャ応える」というのと、「あらゆるニーズに満遍なく応える」の2パターンある。
 
まぁ、どちらも「ニーズに応える」という言葉には該当するのですが、特に、後者を選んだ人が、気がついたらいなくなっているパターンが少なくない。
 
サボっているわけではなくて、ニーズに応えようと頑張っているのですが、あらゆるニーズに応えようとするあまり、リソース(資源)が分散してしてしまって、そして、芸能の場合、かなり致命的なのは、「結局、お前は何がしたいの?」という質問をつきつけられてしまう。
 
こうなってくると、ファンの方からのダイレクト課金が当たり前になった時代とは相性が悪い。
 
皆さんも、よくよくご存知だとは思いますが、テレビ・ラジオ・YouTube関係なく、今、活躍されている方の活動って、メチャクチャ偏っていると思います。
 
「僕は、それが苦手なので、やりません」という意思をキチンと表明している。
 
キチンと意思を表明して、ハッキリと色を出すことで、離れていく人や、離れていく仕事もあるけれど、「それはそういうもの」と割り切っている。
 
 

自分に色をつける「ライフワーク」は「ライスワーク」を新たに生む

 
「ライフワーク」と「ライスワーク」という言葉があります。
 
「ライフワーク」というのは、自分の「好き」を追い求める活動のことで、
「ライスワーク」というのは、食っていく為の活動のことです。
 
で、皮肉なことに、こと芸能の世界においては、自分のリソースを全て「ライスワーク」に充ててしまった人が、食っていけなくなる…ということが起きている。
 
まぁ、このあたりは、芸能の世界が極端で、すごく分りやすいと思います。
 
「全てをライスワークにしてしまった人は、ライスワークを失う」という。
 
少し解像度を上げて喋ると、「ライフワーク」って、「リターンどうでもいいっす」でやっているけれど、実はリターンは確実にあって、それは「自分に色がつく」ということだと思っています。
 
それ自体は1円にもなりませんが、自分に色がついたことによって、「ライスワークが新たに生まれる」という側面がある。
 
自分自身に置き換えて考えてみると、たとえば、僕の「絵本」なんて、ほぼ誰からも求められてなかったけど、10年ぐらい続けてみた結果、「絵本」を起点にした仕事がバーッと広がっていって今があります。
 
大体、僕の活動はこの繰り返しです。
 
今だと、「町」を作ったりしていますが、これも、リターンを見越してやっているもんじゃないんです。
 
国や、地方自治体と違って、税金で作っているわけじゃなく、全て、個人の持ち出しで作っているので、やればやるほど手持ちのお金は減るんです。
 
だけど、個人が作った町の行く末を見てみたいんです。
 
そして、僕の経験上、きっとこれも、どこかのタイミングで、何かの仕事(ライスワーク)に繋がると思います。
 
「町を作っている」という色に集まってくる仕事が出てくる。
 
 

「ライスワーク」と「ライフワーク」の割合

 
ラジオで喋っている以上は、最後はリスナーの皆様に置き換えて話した方がいいと思うのですが…
 
皆、必ず何かしらの「余力」があるわけじゃないですか?
 
金銭的な余力だけじゃなくて、時間的な余力とか。
 
つまり、一般的には、仕事が終わった後は、自由に使える時間がある。
 
大事なのは、ここの時間の使い方だと思っていて、ここで、ボーッとする人は論外で、次に危ないのは「仕事につながることの学び」“だけ”に、時間を捧げてしまう人。
 
これが、さっきのタレントさんの例でいうところの、「結局、お前は何がしたいの?」という人に向かう結果となる。
 
色が無くなるから、結果的に、ライスワークが舞い込んでこない。
 
ライフワークって、自分に色をつける作業(あるいは旗を立てる作業)なので、ここをゼロにしてしまうのは、かなりリスキーだよね…というのが今日の結論です。
 
「食っていかなきゃいけないことは分かるけど、焦るな。ライフワークは、かなり出遅れて、ライスワークに化けるぞ」というところでしょうか。
 
自分の人生の時間をキチンと分散させて、ライスワークとライフワークを「8:2」ぐらいにしておくことが大事なんだと思います。
 
ちなみに僕のライスワークとライフワークの割合は「1:9」ぐらいです。
 
僕は参考にしないでください。
 
 

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