全国で3件目の「倒産」を迎えた多田神社の民事再生について

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日本で3件目の「倒産」となった多田神社の現状を解説します | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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「神社そのものを畳むため」に民事再生へ入ったのではない
先日、「多田神社が民事再生を申請した」というニュースがありました。
「神社が倒産したの?」 「歴史のある神社が、なくなってしまうの?」
という印象を持たれた方も多いと思います。
ただ、今回の件は、もう少し丁寧に見たほうがいいと思うので、分かりやすく解説してみます!
#頑張るぞ
結論から言うと、多田神社は「神社そのものを畳むため」に民事再生へ入ったのではなく、前宮司をめぐる金銭問題によって発生した債務や、境内の不動産に設定された担保を、裁判所の関与のもとで整理しながら、神社を存続させる方向へ舵を切った、と見るのが現時点では適切だと思います。
そもそも、「多田神社って、何すか?」という方がいらっしゃると思うので、そちらの説明を先にさせていただきますね。
多田神社は創建は970年とされ、清和源氏ゆかりの神社として知られています。
約5万㎡の境内全体が国史跡(くにしせき)に指定され、本殿やらアレやコレやが国の重要文化財となっており、宝物殿には、源氏ゆかりの宝刀「鬼切丸」も所蔵されています。
つまり、普通の不動産や建物とは違って、
「土地そのものに歴史がある」
「建物そのものに文化的価値がある」
「そこに1000年以上の時間が積み重なっている」
という場所です。
ところが、2023年ごろから境内の不動産に多額の根抵当権が設定され、その極度額は総額16億円に及んでいました。
ここで、「16億円の借金」と理解してしまうと、それはちょっと違います。
根抵当権というのは、簡単に言えば、
「不動産やらを担保にして、この範囲の内であれば、いつでもお金を貸しまっせ」
という仕組みです。
つまり、
「16億円の根抵当権がある」=「16億円の借金がある」
という意味ではありません。
そして、今回の件をさらに複雑にしているのが、この担保設定や借り入れをめぐる経緯です。
報道によれば、前宮司は神社の名義で複数の金融会社から計2億1000万円を借り入れ、その際に神社の宝物や不動産などが担保に設定されました。
ところが、その借入金は神社の会計には入らず、前宮司の個人口座などを経由して外部へ送金されていたんです。
さらに、境内に設定された16億円の根抵当権についても、当時の神社関係者は知らされておらず、契約書も残されていなかったと報じられています。
つまり、「神社運営のために行われた通常の資金調達」ではなく、「前宮司の個人的な金銭問題」だったんですね。
「どうすれば、多田神社そのものが自力で存続できるのか」を民間で考えるフェーズ
このニュースを受けて、川西市の越田市長からは、
「自治体が宗教法人の経営に関与したり、資金援助をしたりすることはない」
という趣旨のコメントが出ています。
僕自身も、ここは当然だと思っています。
宗教法人…というのは勿論のこと、今回の問題の根っこは「個人が作った借金」なので、「それを税金で立て替える」という話にはならない。
歴史的な文化財を守ることには、社会的な価値があるけれど(自治体としても何とかしたいところだけれど)、誰かが作った借金を無条件に公金で埋めるわけにはいない。
というわけで、今は民間で、「どうすれば、多田神社そのものが自力で存続できるのか」を考えなきゃいけないフェーズです。
民間の知恵や事業によって、歴史を未来につなぐ方法を考える
さて。
多田神社は、2024年2月に当時の宮司が亡くなり、同年9月には担保となっていた不動産について競売開始が決定。
神社側は異議を申し立てるなどして争いましたが、債権者との交渉は長期化。
そして2026年8月、神戸地方裁判所へ民事再生法の適用を申請することになりました。
繰り返しますが、民事再生は、単純に「潰す」ための制度ではありません。
むしろ、
「このままでは返済が難しい。でも、組織そのものをなくしてしまうより、債務を整理しながら事業を続けたほうが、債権者にとってもメリットがあるよね」
という場合に使われる、再建型の法的手続きです。
乱暴に言えば、
破産=清算して終わらせる
民事再生=整理して生き残る
みたいな話っす。
だから今回のニュースを、
「多田神社が倒産した」
だけで終わらせてしまうと、本質を見誤るように思います。
むしろ、
「歴史的な資産を持つ神社が、過去の金銭問題によって生じた債務をどう整理し、どう存続していくのか」
という問題です。
多田神社の民事再生は、そのことを考える非常に象徴的な事例だと思います。
現時点ではまだ再生手続きが始まったばかりです。
最も重要なのは、
「最終的に、どんな再生計画を描くのか」
です。
行政に頼るのではなく、民間の知恵や事業によって、歴史を未来につなぐ方法を考える。
今は、こんなところです。
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