時間を守る

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「アンカー」の1つに「時間(歴史)」があります
この春から、「河口湖 音楽と森の美術館」の運営のバトンを預からせていただくことになりました。
この美術館は、長い年月をかけて集められた歴史的価値の高いオルゴールを数多く所有しています。
僕が初めてこの場所を訪れた時、特に気になったのは、この美術館が誇る貴重なオルゴールの数々が、展示の中心ではなく、倉庫や廊下の隅など、少し寂しい場所に置かれていたことでした。
もちろん、そこに至るまでには様々な事情があったと思います。
ただ、その光景がとても惜しく感じられました。
なぜなら、これからの時代、価値を持つものの1つが「AIには生成できないもの」だからです。
僕はそれを「アンカー(AIで生成できないもの)」と呼んでいます。
アンカーには様々な種類がありますが、その中の1つに「時間(歴史)」があります。
どれだけAIが精巧な音楽を生み出し、古いオルゴールの形や音色を完璧に再現したとしても、「100年前から鳴り続けてきた」という歴史そのものを生成することはできません。
人は、費やされた時間に価値を見出す生き物です。
「この建物は300年前に建てられた」
「この木は樹齢千年だ」
そこにある時間を知った瞬間、同じ景色でも、そこに宿る意味は大きく変わる。
価値は、機能だけで決まるものではありません。
ここで展示されるのは「時間そのもの」
「時間」こそが、美術館の価値だと判断し、館内に点在していた歴史的オルゴールを、1つの空間に集めることにしました。
空間の名前は「千年砦」。
「時間を守る場所」という意味を込めたインスタレーションです。
ここで展示されるのは、単なる古い機械ではありません。
何世代にもわたって受け継がれ、人の手によって守られ、長い時間を生き抜いてきた「時間そのもの」です。
AIがどれだけ進化しても、この価値だけはコピーすることができません。
もし河口湖にお越しになる機会があれば、ぜひ一度、お立ち寄りください。
※画像の1枚目はリニューアル前。2枚目と3枚目はリニューアル後です。



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