補助金の誤解と「ゾンビ事業」の危うさ

2023年12月05日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/672613

補助金の誤解と「ゾンビ事業」の危うさ | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/672613

 
 

受け取ること自体は否定されるものではない

 
日本には「文化庁」というものがありまして、文化庁のホームページの最初には
 
「文化を守り 文化で未来をつくる 世界とつながる。
文化庁は、日本の文化芸術を世界に、そして次の世代へと伝えていく仕事をしています。」
 
とハッキリと意気込みが書かれてあるんです。
 
ホームページのデザインが一切の人を寄せ付けない仕上がりなので、その意気込みには若干の不安は残りますが、ただ、姿勢としては「日本の文化を守ります」「人間が生きていくためには文化活動は必要っしょ!」みたいな感じで、エンタメ屋にとっても、お客さんにとっても有難い「庁」でございます。
 
ちなみに昨日、「補助金と助成金って、どう違うの?」という質問をいただいたのですが、これは経済産業省が「補助金」、厚生労働省が「助成金」という言葉を使っているため少しゴチャゴチャしちゃっていて、さらには申請の難易度や多少のルールの違いはありますが、まぁ、補助金も助成金も「なんかする時に、国からサポートしてもらえるお金」という認識で構いません。
 
昨日みたいな話をすると、ついつい「補助金に甘えるな!」という結論になっちゃいがちなのですが、ただ、それは「文化を守る為に使っていい制度」なので、くれぐれも「補助金を受け取ること自体は否定されるものではない」ということは共有しておきたいです。
 
 

常に国の顔色を伺わなきゃいけない「補助金ありきの活動」

 
その上で。
 
昔、『あいちトリエンナーレ』というイベントで、「文化を守り 文化で未来をつくる」でお馴染みの文化庁が、「いや、よくよく見てみると、申請くれた時のヤツと、ちょっと内容が違うと思う!」といって、いったん採択した補助金の交付を取り下げたことがあったんです。
 
その時は、「国家による検閲だ〜!」「戦時中かよ〜」みたいな感じで、そこそこ炎上したんですが、これは他にもいろいろとややこしい問題がありまして……
 
『あいちトリエンナーレ』の中の「表現の不自由展」という一つの展示に対して、市民や一部アンチからもの凄くたくさんの抗議が来て、その展示の実施が不可能になったことに端を発するんですけども、「表現の不自由展」自体の支出が「420万円」だったのに対して、文化庁は『あいちトリエンナーレ』の補助金全額の「7800万円」の交付を取り下げたんです。
 
なので、「いやいや、最悪、取り下げるとしても、実施が不可能となった『表現の不自由展』分の420万円だけだろ!」という声が上がった。
 
これに関しては「賛成意見」「反対意見」、人それぞれあると思うし、なにより今日の放送の主旨はそこでは無いので、ここでは語るつもりはありません。
 
しかし、ただ一つ。
 
「補助金」は、一旦審査が通っても、「ちゃんと内容どおりに実行されたか?」という後日チェックがあって、そこでキャンセルがかかることがある…ということ。
 
ここは分かっておかなくちゃいけない。
 
つまり、補助金ありきの活動って、常に、国の顔色を伺わなきゃいけないんです。
 
ここには「はたして国の顔色を伺い続ける文化を『未来を作る文化』と呼べるのか?そして、それが世界へと繋がるのか?」という問題はあるし、「戦時中の検閲」はチョット言い過ぎにしても、国が「いや、やっぱ、それは違うと思う」と判断したら『あいちトリエンナーレ』のようなことになってしまうリスクがある。
 
プロジェクトがスタートする前から、「補助金は出しません」と言われていたら無傷で済みますが、いろいろ走らせている時に「やっぱ、補助金は出しません」と言われてしまった時の、「いやいや、補助金が出るから走らせたのにぃ〜」のダメージは半端なくて、最悪、「資金不足でイベントもできない」だけど「準備にかかったお金は払わなきゃいけない」みたいな地獄展開が待っている。
 
もう一度言いますが、「補助金を受け取る」は国が認めている権利なので、否定されるものではありません。
 
「甘えるな」と言われる筋合いもない。
 
ここの線はキチンと引いた上で、「補助金頼みの文化はあまりも危険だ」ということ、今一度、共有しておきたいです。
 
 

「文化事業」と「ゾンビ事業」今日の話にイラついたのであれば…

 
最後に。 
 
経営が破綻しているにもかかわらず、金融機関や政府機関の支援によって存続している企業のことを「ゾンビ企業」というように、文化事業に就いている人達もカッコつけてないで、経営が破綻していない事業を「文化事業」、経営が破綻しているけれど補助金で回している事業を「ゾンビ事業」と呼んで、自分達の立ち位置を把握しておいた方がイイと思います。
 
今日の話にイラついたのであれば、それは心当たりがあるからだと思いますので、早い目に手をつけることをオススメします。
 
僕も頑張ります。
 
 
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