その「痛み」は、時々でいいから一緒に背負ってやれ

2023年06月17日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/550602

その「痛み」は時々でいいから一緒に背負ってやれ | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/550602

 
 
「ドブ板営業をしろ」と言っても9割以上の人がやらない

 
今日は少し女々しい話です。が、サービス提供者全員に関わる大切な話なので、耳を傾けていただけると嬉しいです。
 
先日のVoicyで「宣伝には痛みが伴う」という話をさせていただきました。
 
「痛みが伴わない宣伝は宣伝とは呼ばない」と。
 
よくあるケースとして、たとえば鹿児島県の市街地から外れた田舎町で「スナック」を経営している人がいるとするじゃないですか?
 
その人には一応、「集客をしなきゃ」という気持ちはあって、ツイッターとかFacebookでお店のことを発信していたりする。
 
まぁ、それはそれで大切なことだったりすると思うんですけども、でも、普通に考えて、スナックのママのSNSを見て、「スナックに行こう!」となったことがある人って、ほとんどいないと思うんです。
 
しかも、たまたま、その投稿を見て、何の出来心か「よし行こう!」となっても、場所が「鹿児島県の市街地から外れた田舎町」だったら、行こうにも行けない。
 
「自分のSNSのフォロワー」と「自分が田舎町で経営しているスナックの見込み客」は違うわけで、じゃあ、この時、スナックのママがやらなきゃいけない「宣伝」というのは何かというと、自分のお店の半径100メートル圏内で生活(あるいは営業)している人達へのドブ板営業です。
 
「(物理的に)お店に来れる人」に声を掛けないと意味がないんだもん。
 
というわけで、集客に関してアドバイスを求められた時は「ドブ板営業をしろ」と僕はよく言うのですが、それを言っても(僕の肌感だと)9割以上の人がやらないです。
 
理由は「傷つきたくないから」だと思います。
 
SNSだと自分の投稿に対してリアクションが悪かったとしても、「あまり効果が無かったかぁ〜」と思うぐらいで済むのですが、ドブ板営業というのは対面だから、目の前で如実に無視されたり、悪態を吐かれたり、唾を吐かれたりするんです。
 
チラシ配りとかってやったことあります?
 
僕、ニューヨークで初めて個展をする時、知り合いなんて誰もいなかったので、道行く人にひたすらチラシを配って、「近くで個展をやってるので来てください」と頭を下げまくったんですけど、ほぼ無視されるし、チラシなんて受け取ってもらえないんです。
 
自分の活動が必要とされていないことを思い知らされるし、とにかく「みじめ」なんです。
 
だけど、そんなことをしていると100人に一人ぐらいが反応してくれて、その人は「個展会場から半径100メートル圏内で生活している人」だから、個展に来てくださった。
 
そして、その人が今度は友達を連れてきてくれて…その繰り返しで、ニューヨークでの初個展は最終的には人がゴッタ返しになりました。
 
 

袖山さんが感じた気持ちを赤裸々に語ってくださった…

 
前置きが長くなりました。
 
先日のVoicyの放送で、「後輩がやっているコーヒー屋さんが『宣伝』だと思ってやっていることは『宣伝』じゃない。宣伝というのは痛みを伴うものだ」という話をさせていただいたところ、そのことを『夢と金』の担当編集の袖山さんがFacebookで取り上げてくださっていたので、一部、勝手に読み上げます。
 

 
「はたして自分は『宣伝には痛みが伴う』ってことをちゃんと認識して、宣伝しているだろうか。
痛みを感じないように、自分を甘やかしている時がないだろうか。
痛みのない宣伝だとしたら、それは第三者でも誰でもできることで、当事者の行動とは呼べないのに。
 
西野さんくらいの発信力・影響力があれば、宣伝において、痛みなんて無縁だろうと思う人がほとんどなのかもしれません。正直、この記事を読むまで、私も西野さんの『痛みの存在』に無頓着だった気がします。
 
でも、毎日、宣伝のために時間を使い続けることに、痛みがないわけがない。
『また同じことを言っている』って思われることの痛みもあるでしょう。
自分だけが踏ん張っていると感じる『孤独』という名の痛みもあるでしょう」
 
…といった感じで、袖山さんが感じた気持ちをこの後も赤裸々に語ってくださっているのですが(是非、袖山さんのFacebookを見てください!)、この中で袖山さんがお話しされていた「『また同じことを言っている』って思われることの痛み」と、「自分だけが踏ん張っていると感じる『孤独』という名の痛み」というのは、確かにありました。

※袖山さんのFacebook↓
https://www.facebook.com/maiko.sodeyama/posts/6712460738788695
 
 

「宣伝の痛み」を一人に背負わせているチームは少なくない

 
僕の場合、「一番声が大きい西野が宣伝してるんだから、別に(発信力の少ない)私が宣伝しなくてもいいでしょ」と思われがち(宣伝を押し付けられがち)で、女々しい話で申し訳ないのですが、「みんなのプロジェクトなのに、なんで、みんなで宣伝しないんだろう?」と思ったことは確かにありました。
 
「『また同じことを言ってやがる』と思われる役を、どうして、西野一人に押し付けるんだろう?」と思ったことは確かにありました。
 
幸い、今は(本人の発信力の大きさは関係なく)一緒になって発信してくれる仲間ができたので、そのように感じる機会はグンと減りましたが、過去には確実にありました。
 
なので、今日もどこかで、「『また同じことを言っている』って思われることの痛み」や「自分だけが踏ん張っていると感じる『孤独』という名の痛み」を背負い続けている人の気持ちが僕にはすごく分かって、だからこそ、その人の周りにいる人達に対しては、「一緒に背負ってやることで軽減できる痛みは、一緒に背負ってやれよ」と思います。
 
「アイツのプロジェクトでもあるけど、お前のプロジェクトでもあるだんぞ」と。
 
もちろん、チームには「役割」というものがありますから、そこのバランスは考えなきゃいけませんが、だけど、「役割」という言葉を都合よく使って、「宣伝の痛み」を一人の人間に背負わせているチームは少なくないように思います。
 
「宣伝の痛み」を背負っている人間からすると、時々、一緒に背負ってもらえるだけで、頑張れるんです。
 
今日の放送を聴いて、「そういえば、アイツ一人に宣伝の痛みを背負わせていたな」と思った人は少なくないと思います。
 
その「痛み」は、時々でいいから、一緒に背負ってあげてください。
 
 

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