Netflixで始まった『ONI』が最高だった

2022年10月22日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

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Netflixで始まった『ONI』が最高だった | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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堤大介さんと僕の関係、僕のスタンス


今日は「Netflixで始まった『ONI』というアニメーション作品が最高だったよー」という話をしたいと思います。

まずは、『ONI』を作られた堤大介さんと僕の関係、そして僕のスタンスをキチンと伝えておかないと、感想が濁ってしまう(穿った見られかたをしてしまう)と思うので、先に、そちらをお話しします。

堤さんは、元々ピクサー・アニメーションスタジオで働かれていて、そこから独立されて、アニメーションスタジオ『Tonko House(トンコハウス)』を立ち上げられました。

僕らの出会いは、そのトンコハウスさんが主催されている「トンコハウス映画祭」のゲストスピーカーとしてお招きいただいた時です。

ステージ上で堤さんとガッツリとお話しして、熱があって、考えがすごくクリアで、そのお人柄に惚れて、そのまま数日後に呑みに行かせていただいたんです。

そこでもたくさん喋って、あと、また別の時に五反田でガッツリ呑んで、またたくさん喋って、その帰り道に「もう、あなたがエンタメを愛しているのはよくよく分かったので、なんか、一緒に作りましょう」みたいな話になったんです。

「バンド組もうぜ」みたいなノリですよね(笑)


途中の説明をスッ飛ばしますが、そんなこんなで堤さんとは今、『ボトル・ジョージ』というショートアニメーション作品を一緒に作らせてもらっています。

これも本当にすっごく素敵な作品なので、完成したら絶対に観ていただきたいのですが…

まぁ、つまり「ゴリゴリに交友関係がある」という話です。

なので、作品の感想を述べたところで「身内贔屓」ととられてしまうかもしれないですが…


ここで僕のスタンスを明確にしておきます。

僕は毎月、すごい量のエンタメを見ているんです。ジャンルは問わず。

ちなみに昨日から僕はラスベガスにいます。もちろんエンタメの勉強で。


その中には、友人の作品もたくさんあるのですが、もちろん、友人の作品が全部が全部「最高だ!」とは思ってないです。

なので、「う〜ん」と思った時は、そもそも触れません。

そういう作品の感想は発信しないので、「見ていないこと」になっているかもしれませんが、見た上で発信していないだけです。


贔屓目抜きに『ONI』は最高


その上で、今日は『ONI』の感想です。

贔屓目抜きに本当に最高でした。

オープニングまもなく、森の中に巨大すぎる提灯があるシーンが流れるのですが、もうその時点で「ああ、これは大変な作品になるな」と確信しました。

ほら、イントロを聴いた時点で、「もう、これ絶対に名曲じゃん!」となる感じあるじゃないですか?

あれです(笑)

その予想通り(期待通り)、次から次へと畳み掛けるように、挑戦的かつ丁寧な景色が流れてきて、もう、水も光も森の木々も、ちょっと怖い森の奥も、まな板の上でトントン切られる野菜も、森に住む神様や妖怪達の仕草も、どれも本当に最高でした。

そして、思わず「もうっ!」と叫んでしまったのが、1話から2話へ、2話から3話への「繋ぎ方」なのですが、物語が大きく動いたメチャクチャいいタイミングで次回に続いてくれるんです。

そんなことされちゃ、こちとら仕事でそこそこ忙しいのに、見なきゃいけないじゃん(笑)

もうね、一気に見ちゃいましたよ。「続きは明日観よう」はできませんでした。

いちいち痛快だったんです。


大きなスタジオを飛び出してメジャーシーンにねじ込むのは、最高難度の大技


この話をしちゃうと、「それもあって20%増しで作品の感想を言ってるんじゃないの?」
と思われそうで嫌なんですが、だけど、エンタメの世界に20年ほどダラダラといる人間からすると、無視できないことがあって…

やっぱり「大きなスタジオを飛び出して、何もかも自分達でやる」というのは、全然簡単なことじゃないんです。

クリエイティブに集中したいのに、お金の問題は常によぎるし。人間関係の問題もある。

「枠をもらえない」なんてザラだし、せっかく掴みとったチャンスが流れて、失望することもザラにある。

そこに加えて、『ONI』はオリジナル作品です。

漫画連載されているものでもなければ、テレビで毎週放送されているものでもない。

ほとんどの人が、まだ何の思い入れもない作品です。

これを、メジャーシーンにねじ込むのって、デタラメもいいところで、最高難度の大技です。

「よく話を通したな」と思うし、「よく作り上げたな」と思うし、そこにはリスペクトしかありません。

今、日本は冷笑系が流行って、ブッ壊す系が流行っていますが、いずれも大衆の鬱憤晴らしのサポートでしかなくて、そこからは何も生まれないんですね。

ガラスを作るよりも、ガラスを割る方が簡単なんです。知能が必要ないから。

だけど、そこからは何も生まれない。

そんな中、こうして「作ること」と愚直に向き合って、そして、あれだけ素晴らしい作品を作り上げた。

ここに至るまでに受けた痛みや、惨めさは、どれほどだったのだろう?

表現者なら、この仕事に拍手をおくるべきだし、正しく嫉妬するべきだと思います。


なんか自分の仕事でもないのに「どうだ!」と思っちゃったな(笑)

「しつこく粘ればできる」というところを見せてくれたのが、気持ち良かったんだと思います。

僕の気持ちを語りすぎると、作品の感想が濁ってしまうので、このへんにしておきます。

ここまで話しておいてナンですが、制作の背景の話は一切抜きにして、ただただ作品として本当に素晴らしかったです。

今週末、是非、ご覧いただきたいです。

僕、『えんとつ町のプペル』とかやってるので、意外と子供から支持されているのですが、是非、「プペルのオジサンがオススメしてたよ」と、お子さんをそそのかしてみてください。



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