クリエイティブに必要なのは「締切」
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「貧しさ」を嘆く前に、やれることがある。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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「サブスクだけでは食えない」はボヤキではなくお題に
少し前にシンガーソングライターの川本真琴さんが「サブスク考えたヤツ、地獄に堕ちろ」みたいなツイートをされて、界隈がザワザワしていましたが、まぁ、個人的には(言い方はさておき)問題提議としてはイイなぁと思ったんです。
あれがキッカケで「ヘェ〜、サブスクでは食っていけないんだぁ」と知って、それによって「じゃあ、CDやグッズを買って応援しよう」と思う人もいるかも知れない。
それでいうと、「現状はこうですよ」を発信することって、悪いことじゃないと思っています。
で、これに関しては、僕の師匠であるロザンの菅さんと、菅さんのバーターである宇治原さんのお二人がやられているYouTubeチャンネルでも議論されていたので(僕の話よりもそっちの方が面白いので)是非、観ていただきたいですけども……僕、高校卒業して、最初にお世話になった先輩が菅さんで、四六時中一緒にいて、まだ真っ白な時に、とにかくアレコレ叩き込まれたので、僕の中身のほとんどは菅さんなんです(笑)。
で、その菅さんが、川本真琴さんの「サブスク考えたヤツ、地獄に堕ちろ」というツイートはさておき、その後の「じゃあ、サブスクやめればというかもだけど、CDデッキを持ってない人とも多くなって、どないしろという現実」という川本さんのツイートに対して、「知らんがな」と言ってたんですけど…僕も全く同じ意見です。
これは、まぁ、仕方ないですよね。
僕の中身は「菅さん」なので、「菅さん」の意見に「そうだよね」となるのは仕方ない。
事実上、話し手も聞き手も「菅さん」なので、どうしたって、そうなっちゃう。
というか、僕が叩き込まれたのは、「サブスクだけでは食えない。さて、どうする?」は、ボヤキの方じゃなくて、「ナゾナゾ」とか「頭の体操」みたいな感じで、むしろ、酒の極上の肴で、「仮説・検証を繰り返して、その答えを導き出すのって楽しいよね」なんです。
今でも菅さんとは呑みに行かせていただいているんですけど、大体そういう話なんです。
Aという問題に対して、お互い「どの解き方が鮮やかか?」を順に提案していって、「おお、なるほど〜」「ああ、そうきたか〜」という数学オタクみたいな呑み方をしているんですけども、そのコミュニケーションを生むにはAという問題が必要なので、ぶっちゃけ僕、Aという問題でボヤいちゃう気持ちがよくわからない。
僕は、Aが解けたら、「次! 早くBちょうだい!」というヤツなので。
まぁ、昔から、その調子なので、その時代その時代の「業界が抱えている問題」は大好物なんです。
僕がアーティストだったら、「サブスクだけでは食えない。さて、どうする?」は大喜利のお題としてはヨダレもので、「仮説を70個ぐらい立てて、とにかく片っ端から試しまくる」をやっていると思います。
外から業界に入ると、ビックリするくらい「収益化していない収益源だらけ」
それを僕は、お笑い業界でやり、絵本業界でやり、映画業界でやり、ミュージカル業界でやっている(やってきた)わけですけども、まぁ、各業界はそれなりに問題は抱えているんです。
「映画業界」や「ミュージカル業界」の場合は、やっぱ「労働環境」の問題が大きくて、「クリエイターにお金が落ちていない」という問題がある。
「じゃあ、誰かが激しく中抜きしているか?」というと、ぶっちゃけ、そういうこともない。
一見、大元が凄く儲かっているように思われますが、大元は大元で、大ゴケした作品の赤字の補填なんかもしているわけで(時にそれによってクリエイターが救われることもあるわけで)、「クリエイターを苦しめている分かりやすい悪」がいるわけでもないんですね。
「じゃあ、なんでクリエイターにお金が落ちないんだよ」という話になるわけですが、理由はいたってシンプルで、「そもそもの売上が小さい」というのがある。
じゃあ、この売り上げを伸ばせばいいわけで、となると、プラスアルファの収益源を作る必要がある。
という目を持って、外から映画業界に入ってみると、外からミュージカル業界に入ってみると、もうビックリするぐらい「収益化していない収益源だらけ」なんです。
漁港をイメージしていただけると分かりやすいと思うのですが、水揚げされた魚の中には「捨てられる魚」が結構あるんですね。
それらを、「未利用魚」と呼ぶんですけど、まぁ、市場に出回らないんです。
なので、漁師さんによっては簡単に捨てちゃうんですけど、でも、美味しいやつはメチャクチャ美味しいんです。
たとえば、「形が悪い」という理由で、未利用魚になっているのであれば、加工して「すり身」して、蒲鉾とかにすればいいし、あるいは、旅行会社と組んで「朝の未利用魚グルメツアー」をすればいいわけじゃないですか。
捨てる必要なんて無いんです。
外から「仕事を作れる人間」を招き入れた方がいい
アニメ業界でも、ミュージカル業界でも、「なんで、それを捨てちゃうの?」「それ、ファンからすると眉唾モノだよ?」が山のようにあるんです。
でも、漁師さんと一緒で、ずっとその業界にいる人達って、「自分が宝を捨てている」という自覚がないんです。
自分が宝を捨てているのに、「クリエイターにお金が落ちない」と嘆いているんです。
圧倒的に変じゃないですか?
「じゃあ、どうすればいいか?」という話なんですけども、これシンプルで、「アドバイザー」という形でも何でもいいから、「外の人間(仕事を作れる人間)を招いて、一旦、その人が言うことを聞いてみる」が一番イイ。
これ、皆、自前(自分達)でやろうとするんだけど、「クリエイター」と「起業家」では、打ち手の数が全然違うんです。
僕、ちょうどその間を行ったり来たりしているんですけども、基本的には、芸人さんとか役者さんとかって、たとえば「NFTの使い方のパターンの仮説・検証」とかやってないんです。なので、「ここ、NFTでいける」という答えが出てこない。
なので、「未利用魚」が大量発生している。
アニメーションスタジオとか、劇団とかって、もっと積極的に外野とコンタクトをとって、「仕事を作れる人」「未利用魚を利用できる人」を招き入れた方がいいと思います。
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