「批評」と「批判」と「非難」の違い

2022年07月15日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/356059

「批評」と「批判」と「非難」の違い | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/356059

今日は「批評」と「批判」と「非難」の違いについてお話ししたいと思います。
 
言葉を取り扱う仕事に就いている人間による「言葉」の話です。
 

「批判」とは「改善の提案」であり、建設的なアクション

 
「批評」と「批判」と「非難」がゴッチャ(ひとまとめ)にされてしまうことが多くて、そこそこ困っています。
批評しているのに、「批判している」と捉えられることもある。
 
言葉の定義が曖昧だから、こんなことが起きてしまうと思うのですが、それぞれの意味は…
 
批評=「評価を述べること」
批判=「良し悪しを考えた上で、判定すること」
非難=「欠点を指摘して、責めること」
 
になります。
 
おそらく「批判」と「非難」の境界線が曖昧になっちゃっているのだと思いますが、「なんで、こんなバカなことをしてるんだ!」という『非難』に対して、『批判』というのは、「これはダメだよね。こうするといいかも」という感じで、“誤りを正すもの”です。
 
そこに攻撃的な意味はなくて、どちらかというと「改善の提案」であり、「批判」というのは、すごく前向きな、すごく建設的なアクションなハズなんです。
 
 
新しいことに挑戦する時って、分からないことだらけなので、
→Aパターンを試した。
→〇〇が原因で失敗した。
→○○が起きないBパターンを試そう
…といった感じで「自分への批判」の連続になる。
 
そうやって、徐々に精度を上げていくものなので、やっぱり「批判」というのは、前向きなもののハズなんです。
が、「ああ、批判された。。」というネガティブな感じで捉えられることがある。
 
より良いものになって欲しいから「あそこは、こうすれば良いかも」と提案したいんだけど、それでイチイチ傷つかれたら、良くないものを良くないまま放置することになっちゃう。
 
なので、「これは非難しているわけじゃない」というラインは、最低限、握っておきたいところです。
 
 

「批評」や「批判」が切り取られて「非難」に変えられる

 
それともう一点。
 
「味が薄いんだよ!」という【非難】に対して、【批判】というのは「味が薄いですね。塩を足してみるといいかも」というもので、前半は同じなんですね。
 
「味が薄い」に対して、改善策を出しているか否かの違いです。
 
なので、批判を切り取られちゃうと、非難になっちゃうんです。
そう考えると、切り取りし放題の現代で「批評」や「批判」をするのって、メチャクチャ難しい。
 
今日は、なんで、こんな話をしているかというと、昨日、Voicyのプレミアム放送の方で、劇団四季さんの『バケモノの子』の感想を30分喋ったんです。

【外では言えない話】劇団四季『バケモノの子』の感想 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/355527

喋っていて気がついたんですけど、僕が、作品の感想を30分喋ることって、ほとんど無いんですね。
 
なんで無いかというと、「『批評』や『批判』が切り取られて『非難』に変えられてしまうから」ということを、昨日、知りました。
 
有料放送で、クローズドな場所なので、めちゃくちゃ話しやすかったんです。
「僕だったら、あのシーンは、こう見せていたかも」という話ができたんです。
 
ということは、そのシーンの見せ方が、自分の中の最適解じゃなかったわけじゃないですか?
 
でも、それは人それぞれで、「Aが良い」という人もいれば、「Bが良い」という人もいる。
 
それを受けて、「ああ、なるほど。そっちパターンね」というのが楽しいじゃないですか?
 
僕、立川志の輔師匠が大好きで、以前、師匠に呑みに連れていってもらった時に、僕が大好きな『メルシーひな祭り』という演目の話になったんです。
 
「ひな人形」を作っている地方の商店街に、フランス大使の奥さんと娘さんが「ひな人形を見た〜い」とやって来るんですけど、そこで作られてるのは「ひな人形の頭」だけで、胴体は別のところで作られてるんです。
 
商店街の人達も、フランス大使の奥さんと娘さんを楽しませたい気持ちはやまやまなんですが、人形の生首が並んでいる恐怖映像を見せるわけにはいかないじゃないですか?
 
そこで商店街の人達が一丸となって、フランス大使の奥さんと娘さんを喜ばせる計画を立てるわけですが、その計画がバカすぎて、愛しすぎて、泣けちゃうんです。
 
「ああ、商店街っていいなぁ」と。
 
続きは、志の輔師匠の公演で是非、観ていただきたいのですが、『メルシーひな祭り』って、僕の人生を変えたぐらいの大大大好きな演目なんですが、それですら、「あそこ、僕だったら、こうしてました」という話を師匠としたんです。
 
恐れ多いにも程があるんですけど、でも、「ああ、そっちね!」「たしかに、そっちのパターンもあるね!」という話は、メチャクチャ盛り上がったんです。
 
飲んでる時は、基本、こんな話ばっかりしたい。
 
ですが、先ほども申し上げましたが、これも切り取られてしまうと「非難」に変えられてしまうんです。
 
僕、「非難」なんかには興味がないんです。
 
昨日のプレミアム放送で、30分間、作品の感想を遠慮なく喋れたのが、本当に楽しくて、本当ならクローズドの場所じゃなくて表で喋れたら最高なんですけど、現代じゃそれは無理なので、また今度も、作品の感想はプレミアム放送の方で喋りたいと思います。
 
今日は「批評」と「批判」と「非難」の違いについての話でした。
 

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