損切りなんてできない

2026年09月10日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

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https://voicy.jp/channel/941/8196281

損切りなんてできない! | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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「1打席目は空振り三振だった」と受け入れる

 
話せば話すほど、みっともなくなる話だと思います。
 
でも、それも含めて今の僕なので、格好をつけたり、都合よく脚色したりせず、そのままお伝えしようと思います。
 
これまで、僕はたくさんの作品を届けてきました。
 
絵本、映画、ミュージカル、イベント。
 
その時々によって形は違いますが、その一つ一つに、仲間と流した汗があり、傷があり、喜びがあります。
 
だから、どの作品も僕らが生きた証であり、かけがえのない宝物です。
 
それでも、「その中で一番好きな作品は?」と聞かれたら、僕は迷わず『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』と答えます。
 
僕が子供の頃に観たかったもの。
 
そして、大人になった今では、すっかり見かけなくなった「大冒険」が詰め込まれた、オモチャ箱のような物語です。
 
登場人物の一人一人が愛おしく、少年ルビッチの葛藤も、過ちも、再起も、勇気も、そこから生まれる行動も、その全てが僕には大切なものです。
 
だからこそ、この作品が世の中に届かなかったら、僕は一体、何を信じて作品を作ればいいのだろう。
 
そんなことを考えながら、映画の公開日を迎えました。
 
結果は、僕が願っていたほど興行成績を伸ばすことができませんでした。
 
観客動員数は約40万人。
 
初週は4位スタートでした。
 
当時は同時期に公開されていた『ドラえもん』や『名探偵コナン』や『スーパーマリオ』などと比較され、「爆死、爆死(笑)」と、散々言われました。
 
これについては、もちろん思うところもあります。
 
ただ、スタッフやファンの皆さんに、大きな夢を見せることができなかった。
 
その事実から目を逸らすつもりはありません。
 
「いやいや、ベンチャー映画としては、かなり健闘しているほうでしょう」と開き直ることだけは、絶対にしないと決めました。
 
僕は、あの結果を「1打席目は空振り三振だった」と受け入れることにしました。
 
ただし、ここからが僕にとって大切なところです。
 
負けたのは、製作総指揮としての西野亮廣です。
 
スタッフやファンの皆さんと一緒に作った『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』ではありません。
 
僕の判断が間違っていた。
僕がマヌケで、ノロマだった。
 
ただ、それだけの話だと思っています。
 
だから、あの日から、つまり、スタッフやファンの皆さんと一緒に作ったこの作品に、十分な光を当てることができなかったあの日から、『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』のことを考えなかった日は、一日もありません。
 
どうすれば、ここからひっくり返せるのか。
 
どうすれば、この作品にもう一度、光を当てられるのか。
 
そんなことを考え続けています。
 
 

「逆転の芽を摘まない」こと

 
実はCHIMNEY TOWNでは現在、『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』をもう一度届けるための定例会議を、毎週おこなっています。
 
進捗について、あらためてお伝えします。
 
まず、サブスク配信については、現時点では全てお断りしています。
 
これは「サブスクが悪い」という話ではありません。
 
サブスクに乗せてしまうことで、僕がこの先に考えている打ち手の一つが使えなくなってしまうからです。
 
一方で、DVD&Blu-rayの予約はスタートしています。
 
こちらは、主にコアなファンの方々が手に取ってくださるものだと考えています。
 
そして、それは今後の打ち手と競合しません。
 
たとえば、セカオワのCDを買ったからといって、セカオワのファンがLIVEに行かなくなるわけではありません。
 
むしろ、好きなものを手元に置くことと、LIVEに足を運ぶことは、別の消費行動です。
 
それと同じです。
 
また、クラウドファンディング「ピクチャーブック」では、引き続き、この映画を子供たちに届けるためのプロジェクトを走らせています。
 
今、僕らがやっていることは、派手なことではありません。
 
とにかく、「逆転の芽を摘まない」こと。
 
今できることを一つずつ積み重ねながら、次の一手を打てる状態を維持することです。
 
いわば、「人事を尽くして天命を待つ」。
 
そんな時間を過ごしています。
 
そして明日から、兵庫県の豊岡劇場で『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』の上映が始まります。
 
映画公開から半年が経った今、新たに上映を始めてくださる劇場がある。
 
これは、本当に、本当に嬉しいことです。
 
だから、明日は豊岡劇場に伺います。
 
作品を選んでくださったことへの感謝を、きちんと直接お伝えしたいと思っています。
 
「お前、いつまでプペルを引きずってんだよ(笑)」
 
そう言われるかもしれません。
 
でも、僕にはどうしても、損切りという言葉を使うことができません。
 
事業であれば、損切りは必要です。
 
数字を見て、撤退すべきものから撤退する。
それは経営者として、とても大切な判断です。
 
でも、これは事業の話だけではない。
 
仲間と何年もかけて作って、傷つきながら世の中に送り出して、たくさんの人に支えてもらって、ようやく生まれてきた作品です。
 
頑張って生まれてきた我が子を、
「興行成績が悪かったから」
という理由だけで、僕は損切りすることができません。
 
だから、もう少しだけ、この子に付き合おうと思います。
 
そして、いつか必ず、
「この作品を作ってよかった」
と、みんなで笑えるところまで連れていきたいと思っています。
 
 

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