舞台人の報酬設計を見直してみる

2023年07月06日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/563171

舞台人の報酬設計を見直してみる。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/563171

 
 

手の内をあかして、やってみせることで、皆で前に進めたらいい

 
僕はいつも課題を持って仕事に臨んでいます。
 
「課題」といってもピンキリというか、その言葉の範囲が広すぎるので、もう少し的を絞ると「自分だけではなく、後の表現者の後押しとなるような選択肢を提案すること」です。
 
ちょっとカッコつけすぎですね。
 
初めてクラウドファンディングをした日も、初めてオンラインサロンを立ち上げた日も、絵本を無料公開した日も、いつも石を投げられて、そっちから火をつけてきたくせに「炎上商法」と呼ばれ、会ったこともない業界人から「西野とは距離をとった方がイイ」と噂され、決して口にはしたくない言葉を毎日浴びせられて、なんなら襲撃予告なんかもあって…、まぁ、散々な目に遭いましたが、でも、なるべく自分の手の内をあかして、「こんなやり方があるよ」とやってみせることで、皆で前に進むことができたらいいなと今も思っています。
 
「何か裏があるんじゃないか」「そんなにイイ奴がいるわけないだろ」と思うわれるかもしれませんが、これは芸人さん達や、僕のことを知るスタッフさんから聞いていただければ分かると思うのですが、僕、本当に裏表がなくて、たぶん普通にイイ奴なんだと思います(笑)。
 
 

ガッツリと作り込む舞台の予算を二日で回収するのは結構難しい

 
そんな僕は今、『テイラー・バートン』という舞台を作っているところです。
 
今月末にありまして、劇場チケットはすでに完売していて、今はオンライン配信チケットをせっせと売っているところです。
 
配信チケットはコチラから↓
https://chimneytownusa.zaiko.io/item/354246
 
今回の舞台は本公演が二日間しかありません。
 
べつに「舞台公演は二日が理想!」と考えているわけでも、「二日しかやりたくない」と思っているわけではなくて、「二日の公演で予算が回収できるモデルが作れたら、役者さんの「体力」や「やりがい」に依存している日本の演劇の労働環境を少しは見直せるかなぁという思いがあって、こういうのは実際に追い込まないと僕が逃げそうだから、二日でバッツリと公演を終わらせて、「さぁ、どうする、西野!」と追い込んでみました。
 
追い込んでみて分かったことは、「ガッツリと作り込む舞台を二日で回収するのは結構難しい」ということ。
 
まぁ、そりゃそうですよね。
 
臨場感を出す為に、舞台『テイラー・バートン』の全体の予算を晒すと、約「5,300万円」です。
 
ちなみに、ステージを前に張り出して、客席を潰したので、劇場のキャパは280席とかそんなんです。
 
二日間の全3回公演なので、通常のチケット代だけで回収しようとすると、チケット代は一枚「6万3,000円」いただかないと採算が取れません。
 
ちなみに『テイラー・バートン』の一階席は「5,800円」です。
 
どれだけメチャクチャな挑戦をしているかが少しは伝わったでしょうか。
 
そんな感じでやっておりますので、「予算」とは毎日にらめっこです。
 
演劇業界の予算の壁の高さを思い知らされる度に、演劇村で生きている人達の生活を考えさせられます。
 
「芝居をしたけりゃ、貧乏を受け入れろ」と言われているような感じです。
 
守らなきゃいけない家族もいるのに。
 
 

日本の演劇界の「稽古代を出さない」という非常識にメスを入れる

 
この問題には蓋をしてちゃダメで、やっぱり何とかしないといけないと思って、まずは日本の演劇界の「稽古代を出さない」という非常識にメスを入れて、自分達は「稽古代を出す」ということを決めました。
 
これは、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の時もそうしています。
 
そして、今回はキャストさんへの「出演代」と「稽古代」に加えて、本当僅かではありますが、オンライン配置チケットの売り上げを「印税」のような形で各キャストさんに1%ずつお支払いすることに決めました。
 
「オンライン配信チケットが売れれば売れるほど、キャストさんが少し潤う」という形です。
 
今は「1%」が限界ですが、ゆくゆくはココを上げていきたいと思います。
 
今は皆さん、SNSをやられているし、YouTubeチャンネルも持たれていて、ご自身で宣伝する場所があるので、そう考えた時に演劇の報酬設計の一つの形として、「出演ギャラ+稽古ギャラ+オンライン配信の印税」はそこそこ合理的だと思います。
 
「宣伝しても自分に入ってくるお金が変わらない」のと、「宣伝すればするほど、自分に入ってくるお金が増える」というのは、やっぱり違う。
 
冒頭で申し上げましたが、僕はいつも「課題」を持って仕事に臨んでいます。
 
今回は「役者さんの労働環境の見直し」がそれで、僕の打ち手が正解なのかどうなのかまだ分かりませんが、ただ、自分達を苦しめていたこれまでの当たり前に疑問を投げかけ、見直すべきポイントは見直す動きが生まれるとイイなぁと思っています。
 
そんなこんなで舞台『テイラー・バートン』は現在、オンライン配信チケットを絶賛、発売中です。
 
キャスト・スタッフ一同、ただただ面白いものを届ける為に毎日頑張っています。
 
宜しくお願いします。
 
 
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【注意】
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