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キンコン西野が唸った! とある本屋さんの逆転のアイデア。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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この時代、本屋さんの運営は簡単じゃない
今日は、本屋さんのお話です。
「消えゆく街の書店」という言葉を聞いて久しいですが、事実、この10年でものすごい勢いで本屋さんが閉店していってるんですね。
僕自身、大好きで、すごくお世話になった本屋さんも、次々に閉店していっています。
原因はまぁ色々あるんですけども、やっぱり「雑誌が売れなくなった」というのは大きいと思います。
ちょっと調べてみたのですが、山田優さん、蛯原友里さん、押切もえさんが紙面を飾っていた頃の女性ファッション誌『CanCam』なんて、毎月80万部ぐらい売れていたそうです。
でも、まぁ、今は洋服の着こなしなんかは、モデルさんのインスタをフォローすれば、事足りるわけで、なかなか雑誌に手が伸びづらくなってますよね。
あと、ファッション誌に限らず、雑誌ってそもそも嵩張るので、「Kindleでいいか」となっちゃうのも仕方がない。
出版業界って雑誌が結構支えていたので、この翼がもがれると、やっぱり厳しい。
あと、ここは時代に合わせて見直さなきゃダメだよなぁと思うところなんですけども、本が一冊売れた時に、書店さんに入る分って大体「23%」ぐらいなんですね。
その中から、お店の家賃とか、スタッフさんのお給料とかを払うことになるので、大変なんです。
だから、本屋さんも「どげんかせんといかん」というわけで、カフェを併設してみたり、雑貨を並べてみたりして、本以外でも売上を作ろうと頑張っているわけですが、それでもなかなか、この時代に本屋さんを運営していくというのは簡単じゃない。
そんな中、誰が仕掛け人なのかは分からないですが、「これは、天才だな」と思ったアイデアがあって、それが僕もデビューの時からクソほどお世話になっている「紀伊國屋書店新宿本店」さんなんですけども…同店は、去年の春ごろから順次リニューアルを進めておられたんです。
その中でも一番大きな改装工事は『HASHIRA VISION』と呼ばれるもので、店の入り口に、高さ6メートルの超大型(縦長)のデジタルサイネージがドン!と立ったんです。
その他にも、至る所に、デジタルサイネージがあるんですけども…ここ、「広告枠」として買えるんですよ。
昨日、僕、その価格を調べていたんですけども、ちょうどイイ価格で。
「本の売上」と「広告売上」でまわす
面白いのは「この広告枠を誰が(どういう人が)買うんだ?」というところなんですけども、もし、あなたが人生を賭けた一冊を出版することになった時、やっぱり一人でも多くの人に見てもらいたいから、自腹で広告費出しません?
それとか、経営者が本を出す時って、目的は自分の考え(会社の理念)を知っていただくことだったりして、印税が目当てではないので、「印税は全額広告費に充ててください」という人が少なくないんです。
そうなんです。
この紀伊國屋書店新宿本店さんのデジタルサイネージ広告、「作者が買う」は全然ある流れだと思っています。
少なくとも僕は買います。
昨日、担当編集の袖山さんに「『夢と金』の発売日にデジタルサイネージ空いてるか調べてください!」とすぐに言ったもん(笑)
これは本当に見事だなぁと思っていて、だって、これまで本屋さんが本を売るために手作りでポップとかを作ってくださっていたところですよ。
まぁ、それは引き続きやられるのでしょうが、作者が自分の本を売る為にコストを支払えるようにしたのって、コロンブスの卵じゃん。
僕、この恩は一生忘れないんですけども、僕が絵本作家としてデビューした時(『えんとつ町のプペル』の8年前とか)って、全然売れなかったんです。
自分としては満を持して出したつもりだったのですが、ビックリするぐらい無風で、ほぼ誰からも相手にされなかったんですが、紀伊國屋書店新宿本店さんはもうメチャクチャ大々的に展開してくださったんです。
時間がかかったことが容易にわかる手作りのポップで、ドカーンと。
自分がまだ日本中から叩かれていた頃だったので、それを見た時に泣きそうになっちゃって、「いつか恩返しをしよう」と決めたんです。
で、その後、それこそあれは『革命のファンファーレ』という本を出す時だったと思うんですけども、「印税は要らないから、全部、広告費にまわそう」となった時に、「どこに広告を出す?」となり、そこで僕が出した答えは「紀伊國屋書店新宿本店さんから一番近くの看板を買いたい」でした。
結果、新宿駅の出口改札の前の看板を買いました。
「紀伊國屋書店新宿本店」さんの前(アルタ前)に続いていく改札です。
これは、「その看板を見てくださった方が、紀伊國屋書店新宿本店で買ってくれたらイイなぁ」という思いからです。
ただ、それでも、駅から書店まで距離があるじゃないですか。
それを書店の真正面入り口のデジタルサイネージに広告が出せるのなら、迷わずGOですよ。
中の人と喋った訳じゃないので、実際の数字はどうなのかは分かりませんが、「本の売上と、広告売上でまわしている本屋さん」というのは、非常に面白いですね。
もしかしたら、本屋さんの救いの一手になるかもしれません。
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