クリエイティブに必要なのは「締切」
西野の全盛期の頃の自慢
昔から応援してくださっている方はもう何千回も聞かされた話だと思いますが、僕の人生のピーク(全盛期)は中学3年で(※今はもうオワコン)、当時、学校の成績は(ほぼ)学年最下位だったのですが、「わずか半年で、学年トップに登りつめる」という大逆転劇を展開しました。
学年トップになった教科は「数学」です。
中3の夏に、当時通っていた塾の「合同講習」のようなものがあって、他校のSクラスのガリ勉メガネ(モテなさそう)が大量に集まりましたが、そこでも「数学」は1位の数学無双をブチかましていました。
#進研ゼミの主人公感
その後、高校入学と同時に秒速で落ちぶれるわけですが(三日天下)、とはいえ、「数学」は今も少しだけ得意な方だと思います。
その数学と同じぐらい得意なのは「行動心理学」です。
これはもうデビュー当時からの環境がそうさせたのですが……幸か不幸か「デビュー初日から座長」というキャリアを積んできて、とくに『はねるのトびら』では「帝王学」を徹底的に叩き込まれました。
「共感力」「統率力」「判断力」などなど、真ん中に立つ人間に相応しい能力(立ち振る舞い)を養う為の教育です。
そこでは「チームで勝つこと」が求められるので、「どうすればシュートが決まるか?」よりも、「どうすれば、人が動くか?」が議論されます。
当然、インセンティブ(成果報酬)の設計も重要になってきます。
後輩のプロデューサーを叱る時は、大体の場合が「インセンティブ設計の甘さ」で、彼らには「プロデューサーなら、お前が手がけているプロジェクトを応援すれば応援するほど得をする仕掛けを作れ」と言っています。
クリエイターに仕事を依頼する時に、お金の話を後回しにする(あるいはクリエイターから持ちかけられるまで話さない)なんて論外。
発信力がある人(クリエイター)には、率先して、「売り上げのパーセンテージ」を渡した方が良い。
それだけで広告費が浮きます。
…みたいな話って、僕のサロンでもよくしているのですが、どれだけ話しても、「自分の“目先の”取り分をなるべく増やして、結果的に協力者を減らして、結果的に自分の取り分を減らす人」が後を断ちません。
テメエの腕は多くても2本しかないわけで、10人いれば20本、100人いれば200本です。ならば、テメエの2本の腕は「100人集めること」に使った方がいい。
すっごい簡単な算数ですが、(繰り返しになりますが)ほとんどの人は「自分が立ち上げたプロジェクトの取り分は全部自分が欲しいぃぃぃ〜」という姿勢を崩しません。
頭では分かっているんだけど、感情が許さないのかもしれません。
「もっと、取り分をシェアした方がいいよ」という話をすると、「明日食うものが必要な人もいるから!」と返ってくることがあります。
しかし、それは反論にはなってなくて、「明日食うものが必要なら、尚のこと、取り分をシェアした方が良くないっすか?」という話なのですが、ここで、どれだけ「姿勢」の話をしても埒(らち)が明かないので、誰でも分かるように「数字」で説明します。
「ダイノジ大谷」をどうプロデュースするか?
さて。
突然、出てきました「ダイノジ大谷」さん。
僕の大好きな先輩芸人です。
大谷さんだったら、勝手に題材にしても笑ってくれそうなので、勝手に題材にさせていただきます。
皆さんがダイノジ大谷さんのマネージャー(あるいはプロデューサー)だったら、大谷さんをどう売りますか?
クリアしなきゃいけない課題は結構シンプルで、以下の二つだと思います↓
① 大谷さんのトークの面白さを一人でも多くの人に知ってもらう。
② 大谷さんがトークだけで食っていけるようにする。
まぁ、ほとんどの芸人の課題ですね。
この時、大体、皆、「トークライブ」とかをするんです。
大谷さんの場合なら「ダイノジ大谷トークライブ」といった感じで。
トークテーマは回によって変わります。
「食」について語る時もあれば、「芸能史」について語る時もある。
食に絡めて、芸能史に絡めて、「大谷さんの話術」を売るわけですね。
そして大体の場合が「自分のSNS」で宣伝します。
『○月○日にトークライブをするので観に来てくださーい。オンライン配信チケットもありまーす。500円でーす』
…といった感じで。
オフラインの利益は「会場費」で相殺されるのでゼロ。
利益となるのは「配信チケットの売り上げ」がメイン。
500円だと、80枚も売れればイイ方かもしれません。
つまり…
(続きはこちらから【連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」】)
【西野亮廣】ほとんどの人が「“目先の取り分”を増やそうとして、結果的に自分の取り分が減る」ようにしている!?
https://goetheweb.jp/person/article/20221007-nishino-63