信頼と依存
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自腹で作る日本と、投資家を絡めるブロードウェイの違いはココ | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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投資家は「ロングランされる作品」にお金を出す
せっかくニューヨークに来ているので、今日はニューヨーク・ブロードウェイのドロドロとした話をしたいと思います。
昨日と一昨日、ニューヨークではミュージカル『えんとつ町のプペル』のリーディング公演がありました。
「リーディング公演」というのは、関係者向けに開かれる「ストーリーのお披露目会」で、「公演後に関係者の方から、ご意見をいただいて、その後、手直しする」までがワンセットになっています。
以前も少しお話ししましたが、ブロードウェイでミュージカルをしようと思ったら、基本的には2パターンです。
一つは、「日本で作ったものを持っていって、お金を払って劇場を借りて、死に物狂いで、どうにかこうにか集客して、公演をおこなう」というもの。
要するに「ブロードウェイでやった」という既成事実を買うわけです。
日本人は「海外で活躍している」というブランドに弱いので、日本のいろんな芸能事務所が、この方法を取りますが、これは現地では『ジャパンマネー』と揶揄されて、日本ではニュースになっても、現地ではまったく相手にされていません。
もう一つの方法(こちらが正攻法)は、「リーディング公演を重ねて、投資家や劇場オーナーにプレゼンして、お金を出してもらって、そこから地方公演などを重ねて、重ねて、ブラッシュアップを繰り返して繰り返して、劇場に上がる」というもの。
この道は「自分達でお金を出せば公演できる」というものじゃないんです。
このあたりが日本とブロードウェイの大きく違うところで、日本の舞台の公演期間って、「2週間〜1ヶ月」とかが多いじゃないですか?
なので、待っていれば劇場が空くんですね。
だから、変な話、学生でもお金を集めれば劇場を借りられるんです。
もちろん劇場によっては「貸しません」というところもありますが。
ただ、ブロードウェイはそうじゃなくて、まず「投資家がお金を出す」が前提にある。
投資家からすると、2週間や1ヶ月で終わらされてしまうと、出資の旨味が無いんです。
たとえば、『ムーランルージュ』とかって、たしか50億円ぐらいで作られてると思うんですけども、50億円出すからには、なるべく公演が続いて、お金が入り続けてもらわないと困る。
なので、投資家が見るのは「ロングランされる作品か、どうか?」なんです。
「これはロングランになる」というものにお金を出すので、基本、ロングランされる作品が並ぶんです。
そうなると、劇場の空きが出ないんです。
劇場の数には限りがあるので、何かの作品が終わらないと、何かの作品は始まらないんですね。
ちなみにブロードウェイでは、このたび『オペラ座の怪人』が終わるんですけども、『オペラ座の怪人』の公演期間って、2週間とか1ヶ月じゃないんです。
「35年」です(笑)
売り上げが出ている以上は終わらせる理由がないので、延々と続いちゃうんですね。
なので、「順番待ち」をしている作品が山ほどあるんです。
日本だと、宮本亜門さんとかが、この道で戦っていて、この前、宮本亜門さんが手掛けられた新作ミュージカル『カラテ・キッド』が今、順番待ちに入っています。
が、「順番待ち」をしている作品は山ほどあるので、「待っていれば、必ず劇場公演される」というものじゃありません。
ほとんどの「順番待ち」の作品は、劇場に上がらないまま、終わります。
「舞台を作って、本公演されないまま終わる」というのは、日本だと、ちょっと考えられないですが、ブロードウェイは本気の投資家がゴリゴリに参戦してくる巨大ビジネスなので、こんなことになっているわけですね。
「スタッフに誰が入っているか?」もメチャクチャ大事
で、もう少し踏み込んだ話をすると…
投資家が「作品のどこを見て、お金を出すことを決めるのか?」というと、もちろん作品の中身もそうなんですけども、「スタッフに誰が入っているか?」というのがメチャクチャ大きいんです。
プペルのリーディング公演でも、面白いのが、キャストよりも先に、まずスタッフ紹介があるんです。
そこも大事なプレゼン要素なんです。
なので、クリエイティブチームを作る時に、月並みですが「名前があるスタッフ」を入れることが重要だったり、あとは「スタッフの国籍」も考える必要がある。
「韓国の投資家は、韓国人が参加している作品を贔屓する」みたいなことは、どの国でも普通にあるので、スタッフの国籍、性別…なども、めちゃくちゃ重要になってきます。
スタッフを日本人だけで固めてしまうと、相手にされなかったりします。
「なので、クリエイティブチームに誰を招き入れるか?」がメチャクチャ重要で、僕がニューヨークに来ている理由の半分以上がそれです。
いろんなスタッフと会って、話して、ファンにさせて、「あなたと働きたい」と思ってもらうことが大事なんですね。
アメリカ版のミュージカル『えんとつ町のプペル』の演出をやっている「ウィル」も、振り付けの「エレノア」も、カフェとかレセプションパーティーで想いを語って、口説きました。
日本から遠隔で作るのではなくて、『CHIMNEY TOWN USA』という会社をニューヨークに作って、スタッフがニューヨークに住んでいる理由も、それです。
とにかく「いい人」を仲間にすることがメチャクチャ大事なので、その為には、物理的に近くにいる必要がある。
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CHIMNEYTOWNのホームページを、
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