人間が描く「コンセプトアート」の限界

2022年08月13日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/370896

【負けた】「コンセプトアート」はAIには勝てません | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/370896

 
 

最近の経営者さんの「数値化されないモノに対する意識の低さ」が絶望的

 
ここ数日の僕のオンラインサロンは「世界観の重要性」について、かなり踏み込んだ話をしています。
 
昨日は、けんすうサンが、けんすうサンの角度から「世界観の重要性」について記事を投稿してくださって、それがもうメチャクチャ面白かったので、まだご覧になられていない方は、ソッコーで読んでいただきたいのですが…ちょっと今日は、それに纏わる話を。
 
僕は仕事柄、ジャンル問わず、国問わず、本当にたくさんの経営者さんとご一緒させていただいているのですが、ずっと見ていると、ここ最近の経営者さんが踏む地雷って、大体一緒なんですね。
 
それは、このVoicyでもよく話していますが、「数値化されないモノに対する意識の低さが絶望的」というところなんですけども、たとえば、「コスト削減」を理由にデザインを自分でやってしまったり、あるいは「できる」と思ってしまったり。
 
このへんはシンプルにバカだなぁと思うのですが…たとえば、
 
「自分は100メートルを9秒で走ることはできない」ということは理解できて、
 
「自分は1ヶ月に100億円を稼ぐことはできない」ということは理解できるのに、
 
「自分はデザインができない」あるいは「自分はデザインの監督ができない」ということが理解できないんです。
 
おそらく、皆さんの地元にも、行政のオジサンやオバサン達が地元のイラストレーターを使って爆誕させた『ゆるキャラ』が、誰も要らないグッズになり、お客さんを一人も呼び込まない集客装置となり、今日も皆さんの税金をパクパク食ってると思うのですが、彼らが追いかけている「くまモン」なんて、小山薫堂さんと水野学さんという、クリエイター界の神々の仕事で、とても、私服がダサいオジサンが作れる仕事じゃない。
 
…ということが(バカな経営者は)理解できない。
 
「ゆるキャラだったら、俺でも描けるかな」とか思っちゃってる。
 
「ロゴぐらいなら、私でも描けるかも」とか思っちゃってる。
 
数値化することが極めて難しい「感覚」や「感情」といった部分に直結するアクションへの理解が絶望的なんですね。
 
 

数値化しにくい「世界観」への設備投資が最も重要

 
だけど、今、もっとも大事なのってソコじゃないですか?
 
数字が絡んでくる問題に関しては、皆が解き方を開発して、共有して、あらゆるサービス、あらゆる商品の品質が向上し、上の方で「どんぐりの背比べ」が始まっているわけで、そこで他と違いをつけるとしたら、あとは「数値化しにくい部分」ですよね。
 
そこが最も重要になってくる。
 
昨日のサロン記事では「世界観に設備投資しろ!」と、かなり強めに書いたんです。
 
会社で使うパソコンは自分で作らずに買うじゃないですか?
 
会社で使うオフィスは自分で建てずに、お金を出して借りるじゃないですか?
 
会社で働いてくれるスタッフは自分で出産せずに、「給料」という形で買うじゃないですか?
 
なのに、なぜ「世界観」だけは、自分でやっちゃおうと思うの?と。
 
僕、物語を作ったり、絵を描いたり、空間を作ったり…を生業にしているから、そこに関して少し過敏なのかも知れないですが、仕事をすればするほど、「絶対にこの人が生み出すものには勝てないじゃん」の連続なんです。
 
なので、才能を買って、冷静に白旗を挙げて、「ここなら勝てる」という箇所だけを担当しています。
 
そうやって分業制で、チームで「世界観」と呼ばれるものを作っているので、オジサンが当てずっぽうで作ったデザインの弱さが、メチャクチャ気になるし、その下で働かされるスタッフさんが不憫でならない。
 
リーダーとして(船長として)やらなくちゃいけないことは、「目的地に辿り着くこと」であって、その為に「やらなきゃいけないこと」や、「やっちゃいけないこと」を、冷静に判断することだと思うんですね。
 
「この仕事を自分でやると、自分はドヤれるけど、船が沈む」ということは、やっぱりやっちゃいけない。
 
 

「コンセプトアート」はAIには勝てないので、人間は撤退した方がいい

 
これは自戒を込めて言っているんですけど、この「自分でやっちゃいけないこと」って、クリエイティブの領域でも日に日に増えてるなぁと思います。
 
ちゃんと時代に耳を傾けなきゃいけないし、ちゃんと自分の感情を制御しなきゃいけない。
 
たとえば、今、アニメーションや舞台を作っているので、その領域で話すと…ストーリーを内包していない「コンセプトアート」(※チームで作品を作る前に、「こういう世界観を目指しましょうね」を共有する為の一枚絵)に関しては、もうAIが描くものには絶対に勝てないと思います。
 
こんなことを言うと職人さんにメチャクチャ怒られるのですが、ただの「コンセプトアート」は、人間が太刀打ちできる仕事じゃない。
 
ここは撤退した方がいいと思います。
 
「えんとつ町」をAIに描かせてみてください。
 
それっぽいのは、1分ぐらいで描いてくれます。
 
ただ、これは全然ネガティブな話じゃなくて、「人間にしか描けないコンセプトアートって何だっけ?」を、より考えるキッカケになるのは確かで、そこで重要になってくるのが「ストーリー」ですね。
 
「上手い絵」ではなくて、「ストーリーがある絵」が重要になってくる。
 
ここに関しては、まだAIは追いついていないです。
 
なので、「イラストレーター」さんは「ストーリーテラー」と組み、コミュニケーションを深め、ストーリーを共有することが、ここから重要になってくる。
 
クリエイティブの領域でも「もうAIには勝てないよね」が増えてきているので、そんな感じで、ちゃんと「ここは自分がやっちゃダメ」というのを、冷静に見極める力が必要なんだろうな、と思います。
 

 
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