「ダウンタウン」と「劇場」が生んだ村社会
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日本の「口約束文化」の光と影 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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アメリカでは仕事一つ一つに「契約」が紐づく
今日は、日本とアメリカで舞台制作をしている中で感じた文化の違いについてお話ししたいと思います。
特に、「契約書」というテーマに焦点を当ててみたいと思います。
アメリカで舞台を作るとき、まず最初に必要になるのが「契約書」です。
脚本家、作曲家、演出家、俳優、スタッフ、それぞれの役割や報酬、権利が細かく書かれています。
たとえば、「何があってもこれだけは支払う」とか、「この作品を再演する場合はどうするか」などですね。
密着ドキュメンタリー『BackStory』(YouTube)の「【ブロードウェイの洗礼】理不尽と戦うな。理不尽の中で戦え」の回を観ていただいた方は、ブロードウェイの契約書で決められている「役割の範囲」に驚かされたと思うのですが、極端な話、「この時、僕、手が空いてますので、そちらの仕事を手伝いますよ」というのも契約違反になっちゃうんです(苦笑)。
「おま、それ、他の人の仕事を奪っているぞ!」となるんですね。
詳しくはコチラ↓
(※文化の勉強になるので、是非、ご覧ください)
アメリカでは仕事内容がものすごく細かく分けられていて、これにも驚いたのですが、その一つ一つに「契約」が紐づいていて、さらに驚きました。
日本人はまずコレに面をくらっちゃいます。
ただ、契約書があることで、誰がどんな責任を負うのかが明確で、トラブルが起きた場合でも冷静に対処できる仕組みが整っています。
いろんな地域から、いろんな背景や道徳観を持った人が集まってくるので、「ルールブック」は分厚いぐらいが丁度いいのでしょう。
口約束には「力関係の問題」が潜んでいる
一方、日本ではまだ「口約束」で物事が進むことが少なくありません。
もちろん、信頼関係を重視する文化が背景にありますし、全員が同じ方向を向いて作品を作るという姿勢は素晴らしいものだと思います。
ただ、日本とアメリカの両方を経験した上で、あらためて考えると、日本の口約束文化には「力関係の問題」が潜んでいると感じます。
たとえば、立場が強い人が「こうしたほうがいい」と言えば、弱い人は、それに従わざるを得ない場合が多い。
逆に、立場が弱い人が何か不満を感じても、契約書を結んでいないので「証拠がない」ために声を上げにくい状況が生まれがちです。
この「口約束」の文化は、時に美しく、時に残酷です。
美しい部分は、相手を信じることで柔軟性や絆が生まれる点。
しかし、影の部分としてあるのは、力関係が見え隠れし、公平性が保たれないところ。
特に舞台制作のように、多くの人が関わるプロジェクトでは、これが大きな問題になることがあります。
アメリカの契約文化は、日本人から見ると冷たい印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際はクリエイターやスタッフを守るための「盾」のようなものだと感じています。
たとえば、アメリカでは新人脚本家や俳優でも、自分の権利が「契約によって守られている」という安心感があります。
一方で、日本ではそうした仕組みが曖昧なため、どうしても強い人が有利な状況が生まれてしまうことがあるんですね。
「信頼関係」と「ルール」のバランス
実は、僕らもこれには少し苦しめられていて、僕らの会社も過去に「契約書」をキチンと結んでいなかった(結べなかった)為に、地方の中小企業だったら一発で倒産するレベルの損失を被ったことがありまして…もう二度とそのような痛みを背負いたくないので、できれば事前に「契約書」を巻いておきたいのですが、「口約束」の世界では、事前の「契約書」は煙たがられることが多く、「信じてないのかよ!」とお叱りを受けることがあったりします。
僕らはまだまだ立場が弱いので、ここには抗えないんですね。
もちろん、「口約束」文化がすべて悪いわけではありません。
日本の柔軟性や信頼を基にした制作環境には、アメリカにはない柔軟性やスピード感や粘りもたくさんあります。
それは本当に最高なんです。
でも、その裏に潜む「力関係の問題」を考えると、今より、もう少しだけ契約書の仕組みを取り入れてもいいのかなぁと感じています。
この話は舞台制作に限ったことではなく、僕達の日常生活や仕事の中でも、同じようなことが言えるのではないでしょうか。
「信頼関係」と「ルール」のバランスをどう取るか。
なかなか難しい問題です。
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