西野亮廣から「『教育しても伸びない子』を採用してしまったばかりに、リーダーが教育疲れしているチーム」へ、耳の痛い話
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会社が挑戦しなくなる理由と、その対策 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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「経済合理性」と「応援」のジレンマ
僕はいくつか会社をやっていて、たとえばニューヨークにあるCHIMNEY TOWN NYC LLCという会社はミュージカル『えんとつ町のプペル』のNY版の為だけの会社で、これはブロードウェイのプロデューサーさんの会社とロサンゼルスにある映画の配給会社とCHIMNEY TOWNで3分の1ずつお金を出し合って作りました。
アメリカで、ミュージカル『えんとつ町のプペル』のNY版以外の活動をする場合の母体として、『CHIMNEY TOWN USA』という会社がありまして、これは(株)CHIMNEY TOWNが100%お金を出して作った会社です。
そして、おそらく皆さんが一番よく目にされているであろう(株)CHIMNEY TOWNは僕が100%お金を出して作りました。
「100%出した」とはいっても、当時のCHIMNEY TOWN(元・株式会社にしのあきひろ)は、初期投資が必要な事業は何一つなかったので、たかが知れています。
さて、この株式会社CHIMNEY TOWNは、上場することを最初から目指してはいなくて、誰かに株をお渡しすることも全く考えていません。
それは「僕が権利を独占したいから」といった理由ではなくて、「横から口を挟まれたくないから」です。
似てるけど、ちょっと違うんです。
たとえば、僕が絵本『えんとつ町のプペル』を分業制で作ることを決めた時って、アンチも、ファンも、身内のスタッフも、ほぼ全員が反対したんです。
会社として反対する理由は「分業制で作るには、まとまったお金が必要だろ? そこにそんなお金をかけて、回収できるのか? 」というのが考えられます。
分業制で絵本を作るとプチヒット程度では予算は回収できないわけですが、分業制の絵本が大ヒットした前例が無いので、会社から「それをやって何になるの?」という声が上がって当然です。
それどころか西野ときたら、大きな予算をかけて作った絵本『えんとつ町のプペル』を今度は「無料公開する」などと言い出しまして、やっぱりここでも会社から反対の声が上がるわけです。
「無料公開をやって予算が回収できるロジックを説明してみろ」と。
それで言えば、僕が芸人をやめて絵本作家を始めた時も、レギュラー番組の一切をお断りすることを決めた時も、映画やミュージカルを始めた時も、エッフェル塔や東京タワーで個展を仕掛けた時も、武道館や幕張メッセでイベントを仕掛けた時も、バンドザウルスを仕掛けた時も、「それをやって何になるんだ?」という圧力が横からかかってきていたわけですが、それら一切を無視できたのは、株式会社CHIMNEY TOWNに僕以外の株主がいなかったからです。
エンターテイメントカンパニーには、普通の会社にはない「経済合理性と応援のジレンマ」があります。
会社としては「予算が回収できるキチンとした安全運転の計画」が求められるわけですが、一方で、それをやり過ぎちゃうと「応援シロ」が失われてしまう。
「CHIMNEY TOWNは大丈夫」と思われてしまうと、たとえば今やっているようなクラウドファンディングには支援が集まらない。
僕らはイベントで『HAKUA』というシャンパンを販売していたりするのですが、そのシャンパンの値段には「飲料」としての値段以外に「応援」の値段が入っていて、それもやっぱり「応援してもらっている会社」だからできること。
なので、たとえば僕らが「これをやったら赤が出ちゃうから辞めとこう」「これをやったら、これぐらい黒が出るね。よし、やろう」という基準だけで新しいプロジェクトを決めてしまうと、それはもう「応援される会社(応援しなきゃいけない)」では無くなって、どこにでもある「一般企業」になってしまう。
「応援シロ」まで考えられる株主や、「いいから面白いことをやってよ」と言ってくれる株主なんてホントに一部で、多くの物言う株主は「○○みたいなことをやるから、今期の売上が下がったんじゃないか」とか、「そんなことをやって何になるんだよ!」と言ってくるんです。
「バンドザウルスなんかやって、どんなプラスがあるんだよ!」と言われても、そんなの誰も答えられないじゃないですか?
そもそもクリエイターもお客さんも全員が「俺ら何に一生懸命になっとんねん!」と自分にツッコミを入れることを面白がっているプロジェクト(というかボケ)なので、むしろ「やる理由」がキレイに説明できてしまうと何も参加しない。
「奇行」とも呼べるバンドザウルスの一つの結果として、「デビューライブで1万3000人を熱狂させた」や「バンドザウルスという箱(人間以外の何か)だったからトップクリエイター達が面白がって参加してくれる」というのがあって、これは企画書の段階では説明のしようが無いことです。
株主はガン無視できたけれど、後輩は無視できなかった…
さて。
「やってみなくちゃ分からないことをやるから応援してもらえるんでしょうよ!」という言い分でCHIMNEY TOWNという会社を走らせているわけですが、会社を数年やっていると、厄介なことが起き始めます。
後輩が生まれてくるんです。
当然、後輩達は「やってみなくちゃ分からないことをやらないと誰も応援なんてしてくれないでしょ!」というスピリッツを受け継いでいるわけですが、ここが難しいところで、西野の「やってみなくちゃ分からない」と、後輩達の「やってみなくちゃ分からない」はちょっと違って、その根拠となる経験やセンス(主に経験)には圧倒的な差があります。
なので、「やってみなくちゃ分からないことをやるから面白いじゃん」と思っている僕でも、後輩達の企画に対して「いや、さすがにそれは辞めとけ」と言いたくなる。
後輩達からすると、「なんで西野さんはOKで、僕はダメなんですか?」という気持ちがあるかもしれないですが、そこには「お前だから」という漠然とした答えしかありません。
「なんで、西野さんはOKなんですか?」に対しては、「いや、よく分からんけど、西野は力技で最後は何とかしそうじゃん!」という漠然とした答えしか無いんですね。
でもそれって本人的には納得いかないと思うんです。
とても「ルール」と呼べるものではないので。
なので、今、CHIMNEY TOWNは、僕が後輩たちに「ある程度は根拠がある挑戦をしようね」と言う為に、僕自身がCHIMNEY TOWN内で、それなりに根拠がある挑戦をするハメになっています。
「成功確度はそこまで高くないけれど、コレをこういう形でやれば、ここでコレぐらいのリターンを見込めるから、とりあえずやってみるね」という。
会社としては安心ですが、「どうなるか分からない」というプロジェクトは、なかなかやりにくい環境にある。
株主はガン無視できたけれど、後輩は無視できなかった…という結果です。
会社のお金ではなくて、個人のお金で作る
ただ、これをずっとやっていると自分の「面白いセンサー」が鈍ることは分かっていて、何か手を打たないとなぁと思って始めたのが、CHIMNEY TOWNとはまったく関係のないところで個人的に立ち上げたレンタルスペース『キンコン西野の家(見上げる家)』です。
これは会社ではなく個人のお金で作ってみました。
銀行にお金を預けた時のリターンは知っているけれど、経済合理性をガン無視して変な家を建ててレンタルスペースとして貸し出した時のリターンと痛みを僕らはまだ知らないので、それを知りたくて。
そういえば忘れていましたが、もう1つ完全に個人でお金を出しているものがありまして、それが『スナックCANDY』です。
これも、経済合理性をガン無視して世界観をガンガンに作り込んだスナックを作ったら、「どんな文化が生まれるんだろう?」と思って、会社のお金ではなくて、個人の財布から全額出させていただきました。
おかげで好き放題に実験ができています。
趣味でゴルフや釣りをされる方がいらっしゃると思うのですが、僕の場合は、一人だけの会社を作って、そこで変なことをして、知らないことを知る…というのが趣味になっているみたいです。
ただ、そこで得たデータは結果的に皆がいる会社に還元できたりするので、棲み分け方としてはここらへんが良い落としどころかなぁと思っています。
今日は『会社』が挑戦しにくくなる理由と、その対策についてお話させていただきました。
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