仕事の渡し方

2024年06月14日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

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仕事の丁寧な渡しかた | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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「なんか嫌な収支表」の匂い

 
普段、偉そうに仕事の話をしているのに、つい最近、くだらない凡ミスをかましてしまいましたので、自戒を込めてお話をしたいと思います。
 
CHIMNEY TOWNという会社は本当にいろんなことをしておりまして、もちろん、僕が全ての現場に行くことは物理的に不可能なわけで、そこはスタッフに任せたり、外注したりして、どうにかこうにかやりくりしています。
 
そんな中、先日、スタッフに任せていた「コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』のイベントまわり」の収支表を見せてもらった時に、なんか嫌な匂いがしたので、「もう少し詳しい数字を見せて」と言って、細かく見せてもらったんですね。
 
こちとら劇場生まれ劇場育ちで、かれこれ24年ほど自分でイベントをうってきているので、「なんか嫌な収支表」の匂いが分かるんです(笑)。
 
「Aパートで、こういう類いの取りこぼしをする人は、おそらくFパートで○○ぐらいの取りこぼしをするだろうな」みたいな経験からくる動物的勘です。
 
これに関しては、めちゃくちゃオモロイ動画が残っておりまして、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の大阪公演の演出をされた高橋イクマさんが、大阪公演の数ヵ月前に『スナック西野』に来られた時に、そこまで踏み込んだ数字の話をしていないのに、「おかしいな。これだと、採算が合わないはずなんだけどなぁ。収支はホントに合ってますか?」と預言者みたいなことを言っているんです。
 
たぶん普通の人が見たら「なんで、そんなのが分かるの?」みたいな話だと思います。
 
こればっかりは才能なんかじゃなくて、これまで予算の修羅場を死ぬほどくくり抜けてきて、その痛みから自然と身につけた嗅覚です。
 
さて。
 
気になる『ボトルジョージ』のイベントまわりの予算のアレコレですが、まず大きなミスとしては、映画館でおこなう1時間のイベントなのに、映画館を3時間半も押さえてしまっていたこと。
 
これは「担当スタッフが、映画館でやるイベントと、劇場やホールで作り込んでやるイベントの性格の違いが分かっていなかった」というところで、ただの経験不足によるもの。
 
ただこれは、そんな経験不足のスタッフに任せてしまった僕のミスです。
 
僕らの中には「その場所に許している時間」というのが無意識のうちにあって、同じ“劇場”というククリでも、たとえばミュージカルだったら30分前に客席に座ったりするけれど、映画は30分前に客席に座ったりしないじゃないですか?
 
「映画は本番の5分前に客席につくもんだ」みたいな体内時計が仕上がっている。
 
そう考えると、映画館を押さえる場合は、普通の劇場を押さえる時と違って、お客さんの入退場の時間をそこまで取らなくてもいいんです。
 
まぁ、これは経験すれば、おのずと分かることです。
 
「失敗」というよりも、これは経験した方が良いこと(経験しないと分からないこと)な気がします。
 
 

「仕事の目的」をセットで渡すようにしなきゃいけない

 
僕が気になったのは、「そこに気が回らないということは…」という部分で、いろいろ収支表を見ていくと、案の定「あ、これ!」というのが見つかったんです。
 
それは大阪の試写会終わりにおこなった『交流会』の収支なんですけど、参加費8000円に対して、食事代が5000円だったんです。
 
これだと、販売手数料や大阪までの交通費&宿泊費を入れると、トントンかマイナスなんですね。
 
まぁ、普通に考えたら「いやいや、なんで、そんな簡単な算数を間違えるのよ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが(というか、ほとんどの方がそう思うでしょうが)、一つだけ弁明させていたたくと、CHIMNEY TOWNは、よくイベントまわりで赤字を計上するんです。
 
なんなら僕自身が「イベントはチョイ赤ぐらいがちょうど良い」と思っているフシがある(笑)。
 
それは、そこでファンになってもらう為です。
 
仕事には「フロントエンド」と呼ばれる集客をする為の商品があって、「バックエンド」と呼ばれる利益を生む商品があります。
 
CHIMNEY TOWNにおけるイベントや作品というのは「フロントエンド」で、僕らは、そこで得た知見をコンサルや講演会やビジネス書に落としこんで売上げを作っています。
 
なので、基本、「イベントで大黒字」というのは無いんです。
 
「大黒字になるぐらいなら、美術セットや照明を追加して、お客さんの満足度をもっと上げよう」と考えるので。
 
ところが、時々、利益を作る為…というか作品の制作費を回収するためのイベントというのがあるんです。
 
それが試写会終わりの交流会です。
 
もちろんファンの方との貴重な交流の場ではありますから、「ここでファンを作る」という下心もゼロじゃありません。
 
だけど、この交流会は作品の制作費を回収するためのものなんです。
 
だけど、そんなことって、言われないと分からないじゃないですか?
 
現場のスタッフはいつもみたいに「ちょい赤でも、お客さんの満足度が上がればいい!」と思っていたかもしれない。
 
これは僕のミスでした。
 
仕事には、お客さんをファンにする仕事と利益を作る仕事があります。
 
そして仕事には、フロントエンド商品とバックエンド商品がありますが、時と場合によって、「いつもはフロントエンド商品だったものが、今回はバックエンド商品になります」というレアケースがあって、そのことを上は分かっていても、現場の人間が分かっているとは限らないわけで、仕事を渡すときは、「今回の仕事の目的」をセットで渡すようにしなきゃいけないなぁと反省しました。
 
この手のエラーはどこのチームでもあることだと思うので、お互い気をつけていきましょう。
 
 

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