クリエイターエコノミーの落とし穴

2022年06月18日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/941/341633

【無理なものは無理】クリエイターエコノミーの落とし穴。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

https://voicy.jp/channel/941/341633

今日は「クリエイターエコノミーの落とし穴」というテーマでお話ししたいと思います。
 
 

お知らせ!『西野亮廣講演会』全国各地で続々開催

 
西野亮廣講演会』のお知らせです。
 
全国各地で続々と開催が決まっています。
 
7月16日(土)に豊橋、
7月18日(月)に福岡、
8月7日(日)に東京、
8月20日(土)に熊本、
9月4日(日)に岐阜で、それぞれ『西野亮廣講演会』がございます。
 
私、西野亮廣がマイク一本で1時間半ほど喋る変なイベントです。
 
チケットをお求めの方は、『西野亮廣全国講演会』で検索してみてください。
 
サロンメンバーさんが作ってくださったイイ感じのホームページに飛びますので、そちらから。
 
会場によっては、まだ、チケットを発売してなかったりしますが、そのへんはご容赦ください。

講演会開催情報

https://kouenkai.chimney.town

よろしくお願いします。
 
 

お知らせ!本日の『スナック西野』は佐久間さん 

 
月に2度(隔週土曜日)に、僕の友人やお仕事でお世話になった方を自宅にお招きして、お酒を呑みながら、今、現在進行形で向き合われているお仕事の話を、お客さんの存在をそこそこ無視しながらネホリハホリ聴き倒す(あるいは喋り倒す)『スナック西野』というYouTubeのメンバーシップがあるのですが、今週のゲストは『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』でお世話になっているスーパーテレビマンの佐久間宣行さんです。
 
佐久間さんとのお付き合いは本当に長くて、『キンコンヒルズ』という、梶原君が唯一テレビで力を出せた奇跡の番組でご一緒させて頂いたのが始まりです。
 
もう10年以上前の話ですね。
 
そこから、僕が調子に乗り出した頃に、『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』といった番組に呼び出されて、タコ殴りにされる…という伝統芸能に繋がったわけです。
 
佐久間さんの凄いところは、秋元康さんとか、鈴木おさむさんとかもそうですが、批評する側に回らず、今なお新作を作り続けているところで、そこはもう尊敬しかないんですね。
 
もう、僕、シンプルに「頑張ってる人」が好きなんだよね(笑)
 
そんな佐久間さんに「次、何やるんですか?」という質問をぶつけてみました。
 
とても面白い回になっておりますので、西野亮廣のYouTubeチャンネルから、チェックしてみてください。
 
本日公開です。

西野亮廣 / Akihiro Nishino

https://www.youtube.com/channel/UCOy5sLcFLqYNqZ1iurp4dCg

 
よろしくお願いします。
 
 

「猫も杓子も打席には立てちゃう」は大きな落とし穴

 
そんなこんなで本題です。
 
今日は、ここ最近すごく感じている「クリエイターエコノミーの落とし穴」というテーマでお話ししたいと思います。
 
先に言っておくと、「これは困った問題だよね」というのが今回の話の着地点で、問題の打開策としては「一人一人が気をつけるしかない」という、モヤモヤとした結論になっちゃいます。
 
さて。
 
「クリエイターエコノミー」が叫ばれて久しいです。
 
あらゆるクリエイターが、その表現活動で、食っていけるようになった…というよりも、表現活動をマネタイズする方法が増えました。
 
YouTuberや、インスタグラマーや、ライバーや、このVoicyのパーソナリティーもそうですね。NFTなんかもある。
 
すごく良い時代になったなぁと思う一方で、とんでもなく大きな落とし穴が生まれたとも思っています。
 
それは何かというと、「猫も杓子も打席には立てちゃう」ということですね。
 
結構シビアな話になるのですが「打席に立つ」というのは可能性がある人にとっては、すごく良いことなんです。
 
でも、世の中には「可能性がない人」っているんです。
 
「皆、打席に立てますよ〜」というのは表面上はすごく優しい世界ですが、可能性がない人を打席に立たせて、可能性がない人に期待を持たせて、可能性がない人に時間を使わせることの残酷さったらなくて……今の制度は「お前は無理」と最初の段階で誰も言ってくれないんですね。
 
 

「お前には無理!」「この作品には無理!」はすごく優しい「足切り」

 
この「お前には無理だ」という言葉を全て「ドリームキラーの言葉」としちゃっている人がいるのですが、物理的に無理なことってあるんですよ。
 
たとえば、ある国のある舞台芸術では、「子供教室」があるのですが、その教室は完全にプロを育成する為の教室なので、メチャクチャ酷な話ですが、ビジュアルが悪かったら、入れないんです。
 
ここでいうビジュアルというのは、顔はもちろんのこと、手足のバランスや、肉付き…といった生まれ持った身体的なものです。
 
何故かというと、ビジュアルが悪かったら、どれだけ上手くなろうとも、プロのステージに立てないからです。
 
15年練習して、いよいよプロのステージに立てる年齢になった時に、「いや、お前、そもそもビジュアルが悪いから、プロのステージには立てないよ」と言うのは酷じゃないですか?
 
その子の15年は他のことに使えば、他の場所で花開いたかもしれないので、なので、そういう「この分野では可能性がない子」は一番最初の段階で落とすんです。
 
昨日、けんすうサンから聞いたのですが、漫画の世界もそうで、どれだけ大御所であろうと、その作品が人気がなかったら絶対に打ち切りにされるのだそうです。
 
理由は、「将来の名作を作る時間を奪ってしまうから」です。
 
海外のある舞台芸術の世界でも、漫画の世界でも、こういった「足切り」があるんですね。
 
そして、その「足切り」は誰か他の人が問答無用でやってくれるんです。
 
「お前には無理!」「この作品には無理!」といった感じで。
 
残酷なようですが、「可能性のないことに時間を使わせない為。可能性のあることに時間を使ってもらう為」がその根底にあって、本当は、すごく優しい「足切り」なんです。
 
情が強ければ強いほど、こういう判断って、自分でできないじゃないですか?
 
 

クリエイターエコノミーには「足切り」がないが、無理なものは無理!

 
それで話を戻すと、今のクリエイターエコノミーって、この「足切り」が無いんですね。
 
昔は、そもそも可能性が無い人は打席に立てなかったから、「足切り」なんて必要なかったんです。
 
可能性がない人に「もしかしたら、いけるかも」と思わせるようなことがなかったんです。
 
でも、皆、友達がやっているから大声で言えないと思いますが、ぶっちゃけ、知り合いのママさんが考案したオリジナルキャラクターとか要らないでしょ?
 
これだけエンタメが溢れている時代に、モノが溢れている時代に、知り合いのママさんが考案したオリジナルキャラクターのグッズとか絶対に買わないでしょ?
 
でも、そのママさんは「いけるかも」と思ってるんです。
 
なんなら、自分のオリジナルキャラクターが売れないのは「売り方に問題があるんだ」という謎の結論に至って、マーケティングの勉強とか始めちゃう。
 
いや、無理なものは無理なんです。
 
オンラインサロンとかもそうですよね。

皆、オンラインサロンをやれると思っているんです。
 
でも、僕は最初から一貫していますが、オンラインサロンを運営できる人なんて、本当に極々一部の人間で、とても新しいビジネスモデルとは言えません。
 
皆、プライドが高いから、「オンラインサロンをやってみたけど、無理でした」と言わないだけで、99.9%の人が失敗しています。
 
ここでいう「失敗」は、「高校生のバイト代よりも低い」ということです。
 
可能性のない人に「いけるかも」と思わせることの罪深さったら無いと思うのですが、クリエイターエコノミーは、身長が150センチで止まってしまった人に「NBA選手になれるかも」と思わせてしまうような状況にある。
 
そして、第三者が「お前には無理だ」といったら、「やってみなくちゃ分からないじゃないか!」というルビッチが顔を出しちゃうパターンです。
 
人生の時間は無限にあるわけじゃないので、一度ちゃんと、「今、ここに張ってるけど、これは本当に可能性が1%でもある時間の使い方なのか?」という自問自答はされた方がいいと思います。
 
クリエイターエコノミーというのは、これまで「99.9%のクリエイターが食っていけない世界」を、「95%のクリエイターが食っていけない世界」にしてくれただけで、あいかわらず95%のクリエイターが食えません。
 
これが現実です。
 
 

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