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【ブロードウェイの洗礼】理不尽と戦うな。理不尽の中で戦え。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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あの日、ニューヨークで何が起きていたのか?
今日は、土曜日恒例となっております密着ドキュメンタリー『BackStory』の最新話の振り返りをしたいと思います。
ネタバレを含みますので、まだ最新話をご覧になられていない方は、先にそちらをご覧ください。
BackStory最新話はコチラ ↓
そんなこんなで本題です。
密着ドキュメンタリー『BackStory』の最新話は、(このVoicyでも過去に何度も何度も何度もお話ししてきました)今年1月におこなわれたブロードウェイ版のミュージカル『えんとつ町のプペル』の投資家向けのプレゼン公演(本読み公演)の裏側にカメラが向けられました。
話には聞いていたけれど、実際に、「あの日、ニューヨークで何が起きていたのか?」を見てはいないので、昨日の動画を心待ちしていた人も結構いらっしゃったかもしれません。
あの映像にあったことが全てなのですが、あのトラブルの背景をもう少し詳しくお話しすると…
投資家向けの公演があったのは2024年の1月20日ぐらいなんですが、その1ヶ月半前の段階では、劇場を押さえていた以外、何も決まってなかったんです。
というのも、動画の中でもフワッとお話しさせていただきましたが、CHIMNEY TOWNでニューヨークのミュージカルを担当していた現地スタッフが立て続けに「無理です!」と白旗を挙げて、一時は、「アメリカにCHIMNEY TOWNのスタッフが一人もいない」という緊急事態に陥りまして、話を進めることができなかったんですね。
それで、『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』(幕張メッセ)を終えたばかりの西野が緊急で渡米して、新しいプロデューサーが見つかるまでの代理プロデューサーとして走り回ったんです。それが2023年11月中旬の話。
で、2023年の11月の末に脚本と音楽のブラッシュアップを目的としたクリエイティブ合宿がニューヨークでありまして、その合宿の最終日に本当に身内向けの本読み公演がありまして、それをたまたま観に来たのがミーガン・アンです。
ミーガン・アンとの出会いはそこ(2023年11月末)だったんですね。
そこで彼女が「この作品は世界に届けなければいけないし、あなたはブロードウェイに必要な才能です。手伝えることがあれば何でもする!」と言ってくれたので、正直に全部話したんです。
最近、チームが崩壊したことや、年明けすぐに投資家向けのプレゼン公演があること。
そして、投資家向けのプレゼン公演に臨む仲間がいないことなどを全て正直に話しました。
それを受けて、ミーガン・アンから「すぐに仲間を集めましょう。だけど、ここは村だから、あなたが一人一人と直接会って想いを語らないと、仲間は集まらない。今からブロードウェイのクリエイターに声をかけるから、10日後にもう一度ニューヨークに来てください」と言われ、僕は日本の仕事があったので一旦帰国するも、再び12月10日に渡米して、そこからミーガン・アンと二人で、ブロードウェイ村行脚をして、クリエイター一人一人に会って、一人一人口説いていきました。
日本では照明と振り付けのクリエイティブを進めていた
その裏で進めていたのが、照明と振り付けで、まだ信頼関係が築けていないブロードウェイスタッフだけでチームを組んでしまうと匙を投げられてしまう可能性があったので、一旦帰国した時にイジツさんとカオリさんに事情を説明して、照明と振り付けのクリエイティブを進めてもらっていたんです。
ここで、日本にいる間にイジツさんと進めていた照明のプランについてお話しさせていただきます。
本読み公演だから本来はあまり照明は使わないのですが、物語が物語だけに、『えんとつ町のプペル』の照明は脚本やキャラクターの一部なので、照明は力を入れることにしたんです。
もちろん、ユニオンの規定もありますから、「どこまでやっていいのか?」という確認をユニオン側ととった上で、最終的に、照明を切り替えるキッカケが300回ある照明のプランを立て、極めつけに、ラストの星空のシーンでは、客席に向けられた大量の照明が上からガーッと降りてくるサプライズを用意していました。
意識したのはチームにヤバイ空気を流さないこと
話をニューヨークに戻します。
12月10日と11日は仲間集めに奔走し、ジワジワと協力者が見つかりつつあったのですが、厄介なことにアメリカは12月中旬から年明けまでホリデーシーズンに入るので、そこに突入してしまうともう間に合わないんです。
稽古は1月2日からだから。
なので、実質2~3日でキャスト&スタッフ全員の契約を巻かなきゃいけなかった。
これを夜通しやってくれたのがミーガン・アンです。
実際、ホリデーシーズンに入っても、彼女だけはずっと走り回っていて、とにかく、プレゼン公演の成功から目をそらしませんでした。
そうして1月2日から稽古がスタートして、2週間ほど経った時(公演1週間前)に、イジツさんがニューヨーク入りされて、「さぁ、明日から照明を合わせるぞ」となったタイミングで、ユニオンの方から「あなた方が用意してきた照明のプランをやらせるわけにはいきません」と通告されたわけです。
これが今回のトラブルの全貌です。
劇中で照明が300回切り替わる前提で脚本も演出も何もかも進めていたし、なんなら最後の星空のシーンで天上からガーッとおろしてくる大量の照明の為に結構な予算をブチ込んだのですが…「それも全部ダメだ」と。
ここで、「理不尽と戦うな。理不尽の中で戦え」が始まるわけですが、正直、あそこでテンパったか?というとテンパって無いんです。
あの時に意識したのはチームにヤバイ空気を流さないこと。
その為の言葉選び、声のボリューム、喋るスピードなどです。
皆の脈が速くなっていたのは見てとれたので、まずは落ち着かせる為に、「え~と、たとえばぁ~」という遅くなる言葉を挟んで、「あ。これはもしかしたら、それほど慌てる事態じゃなくて、なんとかなる類いのトラブルかのかもしれない」という空気に持っていくことを努めました。
というのも、昔から、忙しくなったらテンパる人とか、忙しくなったら声を荒げる人がすごく苦手で、「お前がそこでそんな声を上げたら、伝染するじゃん。なんで、そんなことも分からないの?」と随分冷めた目で見てたんです。
「ああいう人にはなりたくないなぁ」というのが昔から強くあったから、なのでトラブルが起きた時の言葉選びや、声のボリュームや、喋るスピードに意識がいくようになったのだと思います。
今年1月のことだったので忘れていたのですが、あの運命の9分30秒のミーティングの最後、まだ何一つ解決していないのにチームの皆がゲラゲラ笑ってるんですね。
ミーティングしている自分を、今回のように俯瞰で見る機会ってあんまり無いのですが、我ながら、西野はミーティングの空気づくりが天才的に上手かったですね(笑)
まず、「責任を追及したところで状況は変わらないのだから、責任追及はやめましょう」と釘を刺して、次に「今、話し合うべきではない内容」を明らかにして、ミーティングの方向を整えて、そして、いい感じのリアクションと、いい感じのジョークで場を温める…あんなヤツ、会議にいてくれたら最高じゃないですか。
あの人材、欲しくないですか?(笑)
今回の『BackStory』はプロの仕事の向き合い方の教科書みたいな内容なので、昨日も申し上げましたが、是非、皆さんの会社の社員研修の素材として使ってください。
(BackStory最新話はコチラ→https://youtu.be/mIrcrx4ZzP8?si=mtcOEQDX_hCv6Zxf)
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