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もう少し「権利」に目を向けた方がいいんじゃね? | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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昨日、大阪で『テイラーバートン』の「ディレクターズカット版」を映画館上映
今年の夏に、宮迫博之さんを主演に迎えた『テイラーバートン』という舞台があったのですが、昨日は、その『テイラーバートン』の映画館上映が大阪でありました。
昨日、映画館で上映されたのは『テイラーバートン』の「ディレクターズカット版」という代物で、オンライン配信された映像から更に、ディレクターのメスが入ったモノです。
具体的に言うと、「音」が違っていて、オンライン配信で流れた映像は、実際に劇場の客席に響いていた音(客席スピーカーから出ていた音)を使ったのですが、今回の「ディレクターズカット版」はヘッドセット(ピンマイクのようなやつ)で録音した音を使っていて、これだけでも雰囲気が全然違うんです。
もちろん違いはそれだけじゃなくて、ちょっと踏み込んだ話をすると、カメラのカット割も、「いやいや、この角度から撮れてるってことは、客席の前にカメラを構えてるでしょ」というような、通常の劇場公演を撮影したものとは明らかに違う映像になっていたりします。
「舞台作品を映画館で観る」という試みに関しては、これまでだって、たとえば劇団☆新感線さんの「ゲキシネ」だったり、爆笑問題さんの「タイタンシネマライブ」だったり、いくつかあったんです。
そういったものと今回の『テイラーバートン』が大きく違うのは、映画館に来られているのが「演劇やお笑いライブを映画館で観る」と割り切っているお客様か、「舞台を舞台にした映像作品を観る」という気持ちで来られているお客様かの違いで…たとえば前者の方だと、映像の中の客席の反応と、映画館の客席の反応に違い(熱量の違い)があっても、「でも、まぁ、これはパブリックビューイングだしな」と割り切れると思うのですが、『テイラーバートン』の場合は、カメラ10台で撮影しているものだから、なまじっか映画やドラマのようでもあって、「これは、パブリックビューイングだしな」では割り切れない。
「はたして、それが吉と出るか凶と出るか?」というのが昨日の上映会だったのですが、結論を言っちゃうと、「かなり良かった」という感じです。
恐れていたような「チグハグ感」というか、スクリーンの中のお客さんと、スクリーンの外のお客さんの摩擦のようなものは無くて、もちろん、「これはパブリックビューイングだよな(生の舞台じゃないよな)」という感じはありつつも、家で観るオンライン配信よりかは遥かに臨場感があって、ほんとに「お、これ、意外とイイじゃん」という感じでした。
昨日は上映前に僕がステージに出ていって、5〜10分前説をしたのですが、そこで「こういう風に観てください」という観劇方法をレクチャーしたんです。
「新キャラが出てきたら拍手をする」とか。
あれがイイ感じだったので、もしかすると、あの前説はマストかもです。
いずれにせよ、今回とれたデータは「ドラマのように撮った演劇は映画館でもイケる」ということで、これは、これまで“劇場の総座席数が売上の上限となっていた演劇”の(オンライン配信に次ぐ)大きな可能性だなぁと思いました。
もっというと、“映画館で上映することも”見越して演劇を作ると、より広がりが出てくるなぁと思いました。
作品の権利を持つor持たない問題
まぁ、そんな月並みな感想を並べつつ、同時に考えてしまったのが「作品の権利を持つor持たない問題」です。
いろんな形がありますが、基本、作品の権利って「制作費を出した人」が持っていたりします。
芸能事務所に所属していると、大体の場合は、作品の権利は芸能事務所が持っています。
当然、制作費を出した人は一番大きなリスクを背負っているから、その分、売れた時の取り分も大きくて、よくタレントさんとかが「事務所にほとんど持っていかれた」みたいに言ったりしていますが、基本、「ヒット作」というのは、そうそう出るもんじゃないので(基本、赤字なので)、このあたりはタレントさんは実は守られていると思います。
まぁ、そういった「取り分」ウンヌンカンヌンの話はここではどうでもよくて、僕が引っかかっているのは、「作品の権利を自分で持っていないことによって、奪われてしまっているスピード感」です。
今回、僕らは自分達で『テイラーバートン』の制作費を全額出して、自分達で作品の権利を持っていたから「映画館で上映してみよう!」と思って、こうしてすぐにチャレンジできました。
ただ、この権利が事務所預かりだったら、「映画館でやってみたい」と思っても、「ちょっと上に確認してみます」から始まり、「ちょっと前例が無いので…」という足止めをくらってしまって、そうこうしている間にどんどん遅れをとっちゃう。
これだけ変化が早い時代において「遅れをとる」というのは結構致命的な気はしていて、最近は『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』のオンライン配信チケットを買っていただくための手を毎日打っていて、そこでは全部自分達で「あれを出そう、これを出そう」と判断していて、思いついた次の瞬間には出せているので、余計に思うんです。
「×映画館」「×配信」「×NFT」「×Netflix」「×○○」…自分達が生み出したコンテンツをどの棚に並べるか?
その最適解を最速で選べる人と、そうじゃない人。
ここの差はジワジワと広がっていきそうだなぁということを思いました。
発信の選択肢が増えた時代だからこそ、「権利を持つこと」について、皆、もう少し向き合った方がいいんじゃないかなぁ?というオバサンのお節介でございました。
次回の『テイラーバートン』映画館上映会は…11月27日(月)の名古屋でございます。
チケットはコチラから↓
https://chimneytown.net/products/2023-11-27
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