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『価格』を決めるのは誰か? | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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「コスト・アプローチ」と「マーケット・アプローチ」は「価格」の決め方の代表的なところ
『夢と金』の発売が近づいてきたので、『夢と金』には書いてない内容も混ぜながら「お金」の話をしたいと思います。
今日は少しだけ勉強になる回です。
「商品(サービス)の価格はどう決まるか?」という話です。
「価格」の決まり方っていくつかあるんです。
代表的なところでいうと「コスト・アプローチ」と「マーケット・アプローチ」です。
「コスト・アプローチ」というのは、「原価」から逆算していって出される「価格」のことです。
たとえば、「この店の家賃がいくらで、光熱費がいくらで、人件費&材料費がいくらだから、この値段になりました」といった感じ。
値付けの根拠になっているのは「原価」で、原価が安ければ商品価格も安くなるし、原価が高ければ商品価格も高くなるのが「コスト・アプローチ」ですね。
一方、「マーケット・アプローチ」というのは、「競合商品」の価格によって、決められる「価格」のことです。
同じような他の商品が大体これぐらいの値段だから、この商品もこの値段っす」みたいな感じ。
銀座の商品の値段を決めているのは、「原価」なのか、はたまた「競合」なのかは、難しいところで、実は原価ではなくて、競合が「銀座だし、これぐらいの値段でも納得でしょ」と決めたことによって、値段が上がっている場合がある。
つまり、「マーケット・アプローチ」というのは価格操作が可能なんですね。
まず、このあたりのことは押さえておきましょう。
「VIP戦略」は市場価格がベースの考えとはゴールが違う
で、次に、先日、宮迫さんのYouTubeチャンネルで、「お金の話」をさせていただいたんです。
以前、武道館でおこなった講演会で喋った「VIP戦略」の話ですね。
劇場の場合でいうと、「皆から等しくお金をいただくのではなくて、キチンとVIP席を作ることで、一般席の値段を下げて、劇場の敷居を下げることが大事だよ」というような話です。
宮迫さんのチャンネルをご覧いただくと分かるのですが、この上なく分かりやすくお話しさせていただいたので、皆、納得かなぁと思ったのですが、コメント欄を見ると「西野が言っていることはペテンだ!SS席の値段を上げたら、普通は、一般席の値段も上がる!騙されるな!」的なコメントがあったんですね。
アンチコメントというよりも、心の底から思っている感じのコメントでした。
日本には、こういう人がいるから、『夢と金』という本を書こうと思ったわけですが…この方が言っていることは「市場価格」の話なんですね。
「市場価格」というのは、市場の競争によって需要と供給が釣り合う価格のことです。
売れなかったら(ニーズがなかったら)、値段が下がるし、「高くても売れるんだから(ニーズがあるんだから)、高くしてまえ!」というアレですね。
「SS席の値段を上げてもそれが完売するんだったら、他の席も高くするでしょ?」というのが、この方の言い分なのですが、価格を決める際の、そもそものゴールが違うんです。
この方のゴールは「どうやったら儲かるか?」なんです。
あるいは、「西野は『どうやったら儲かるか?』を考えている」と思っておられる。
違うんです。
僕らのゴールは、「どうすればA席、B席の値段を下げられるか?」なんです。
「A席7000円」「B席5500円」とかだったら、家族で観に行けないので、「それらの値段を下げて、家族で観に来れる舞台を作るには、どうすればいいか?」というのが僕らのテーマです。
「原価がこれぐらいだから、この値段で」と決めているわけでもなければ、
「競合がこれぐらいだから、この値段で」と決めているわけでもなければ、
「競争率が高いから、値段を上げてやろう」と市場価格ベースで考えているわけでもない。
「一般席の値段を下げて、劇場の敷居を下げるにはどうすればいいか?」という議論をしているんです。
このあたりの話を聞き取れないとなると、かなりヤバイと思います。
「お金稼ぎ」が目的なら、西野は「舞台」とか絶対にやってない
もしかしたら、西野亮廣というのは、ものすごく穿った見られ方をしてしまっているのかもしれない。
「とにかく、お金を稼ぎたいヤツに違いない」と(笑)。
これ、経営者さんとか、個人事業主さんとか、あるいは僕の仕事内容を知っている人で、あと、舞台制作をなんとなく理解している人なら分かると思うんですけども…僕、「お金稼ぎ」を目的とするなら「舞台」とか絶対にやってないんです。
ここが伝わると嬉しいんですけども、目的が「お金稼ぎ」なら、僕の時間はもっと他のことに使います。
多くの日本人にこれを言っても、まったく信じてもらえないんですけども、そんなことには心の底から興味がなくて、僕が興味があるのは「舞台役者さんや、舞台関係者さんが、安心して、健康的に舞台を続けていく為には、どうすればいいか?」と、「ビジネスモデルの再構築から、新しい表現が生まれるかも?」の二点だけです。
「その為には、お金の設計をキチンをしていかなきゃいけないよね」ということで、お金の話をしています。
日本でお金の話をすると、「お金儲けを第一目的に置いているやつ」となるので、真っ当な話をしていても、穿った見られ方をして、まったく違う解釈をされてしまうので、なかなか話が前に進まないのですが、ここで話を前に進めないと、少なくとも舞台業界は沈没する(いつまでたっても役者さんや、スタッフさんがワリを食っちゃう)ので、頑張って話を前に進めたいと思います。
あと、このラジオをお聴きの舞台関係者さんは、このことは全部分かっていると思うので、いつまでもダンマリを決め込んで、面倒な役を西野一人に押し付けるのではなくて、少なくとも、自分のコミュニティー(ファン)にシェアして、「こういうことなんだよ」と伝えていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
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