崩れきらないチームを作る

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崩れきらないチームづくり | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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ヒットに恵まれない時間をどう耐え忍ぶか
あまり信じてもらえないのですが、こう見えて僕は、学生時代は部活動にかなり打ち込んでいて、いわゆる「絵に描いたようなスポーツ少年」でした。
ちなみに、足もメチャクチャ速いです(笑)。
以前にも少しお話ししたことがありますが、スポーツをやっていると、「強い人」や「強いチーム」が、他と何が違うのかを目の当たりにすることがあります。
「強い人」や「強いチーム」にも調子の悪い日はあるんです。
ミスが続く時間帯もあるし、思うように連携がとれない日もある。
だけど、「強い人」や「強いチーム」は、そこで崩れ切らないんです。
調子が悪いなりに最低限のところで踏みとどまり、致命的な失点を避けながら、もう一度流れを引き寄せる。
これは、仕事でも同じことが言えるなぁと思います。
とくに僕らのような人気商売には、分かりやすいところで言えば、「ヒットする作品」もあれば、「ヒットしない作品」も当然あります。
大切なのは、ヒットに恵まれない時間をどう耐え忍ぶか。
ここをきちんと設計しておかないと、次のヒットに辿り着く前に、チームそのものが持たなくなってしまいます。
今年の4月から『河口湖 音楽と森の美術館』の運営のバトンを預かっていますが、最初に手をつけたのは、まさに、この「ヒットに恵まれない時間帯の耐え忍び方」の設計でした。
当時、「使える予算」なんてものは、ほとんどありませんでした。
だから、今日に至るまで、美術館の予算は1円も使わず、「とにかく、今あるものを使おう」というところから始めました。
まず、表に出してはいけないものを片付ける。
そして、何度も倉庫に入って、使えそうなものを探す。
見つけたものは、ホコリを払い、磨き直し、もう一度輝ける場所を探して、展示する。
そんな小さなリニューアルを、何度も何度も繰り返してきました。
これは単に「お金を使わない」という話ではなくて、スタッフの皆と、「お金を使わなくても、まだ十分に戦える」という共通認識をつくっておきたかったんです。
皆が頑張ってくれたおかげで、先月はコロナ以降最大の来館者数を記録しました。
とはいえ、ここまで僕らがやってきたことは、極端に言えば、「もともと美術館にあったものを、もう一度見つけて、並べ替えただけ」です。
まだ、「美術館の予算を使って、新しいコンテンツをつくる」というフェーズには入っていません。
まだ投資をするタイミングではなかったからです。
だから、実は今も大々的なPRは打っていません。
「リニューアルしました」というPRを打てるタイミングは、一度しかありません。
それならば、施設の体制を整え、必要な投資を終えた上で、「ここから変わりました」と言える状態になってから、一気に打った方がいい。
そう考えて、今はあえて派手なPRを止めています。
しかるべきタイミングで、しかるべきPRを打てば、先月記録した「コロナ以降最大の来館者数」は、おそらく大きく更新できると思います。
でも、繰り返しますが、大切なのは、そこではありません。
大切なのは、「調子が悪い時にも、崩れ切らない美術館」をつくることです。
致命傷にならない設計
シルバーウィークが始まり、さらに連休中の雨も重なって、昨日の美術館は朝から大変な賑わいでした。
普通なら、雨が降れば、そもそも河口湖まで来る人の数も減ります。
ところが、「大型連休」になると、少し事情が変わります。
「前々から河口湖に行くことを決めて、ホテルも予約して、実際に河口湖まで来た。でも、雨で予定していたアウトドアが全部なくなってしまった」
そんな人たちが一定数いて、そういう方々の行き先として、屋内エンタメである美術館に矢印が向いてくる。
つまり、「連休×雨」は、美術館にとって一つの特需なんです。
ただし、これは「雨が降っても大丈夫」という話ではありません。
平日の雨は、そもそも「今日、日帰りで河口湖へ行こう」と考えていた人そのものが減ってしまうので、屋内エンタメであっても、客足は鈍ります。
今月は、とにかく雨が多い。
サクッと調べてみたところ、関東では9月1日から17日までの17日間で、雨が降らなかった日は4日間しかなかったそうです。
東京では9月4日から12日まで、9日連続で雨。
さらに、今年は6月の梅雨よりも9月の方が降水量が多いという話もあります。
こうした影響もあって、『河口湖 音楽と森の美術館』も、9月は目標を下回る日がかなりありました。
でも、僕はこれを、スポーツでいうところの「調子の悪い日」だと捉えています。
そして、強いチームというのは、調子の悪い日にこそ、崩れ切らない。
実は、ここについてはすでに手を打ち始めています。
以前は、こうした「不可抗力によって客足が鈍る日」であっても、スタッフがフル稼働する設計になっていました。
つまり、売上が立たないのに、人件費はいつも通り発生する。
これでは、「調子の悪い日」の影響を、そのまま事業が受けてしまいます。
先日の役員会議でも、
「雨で客足が鈍ること自体は、問題ではない。大切なのは、客足が鈍った時にも、それが致命傷にならない設計になっていることだと思います」
という話をしました。
結局、事業の強さって、絶好調の時にどれだけ売上を伸ばせるかだけではなくて、調子が悪い時に、どれだけ崩れずにいられるか。
そして、崩れずに耐えながら、次のチャンスが来た時に、もう一度アクセルを踏める状態を残しておく。
今、『河口湖 音楽と森の美術館』はそういうチームになっていて、雨が続いた9月に致命的なダメージを負っていないところを見ると、ちょっと強くなったのだと思います。
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