お客さんにとっては「特別な一回」だ。それを忘れるな



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お客さんに「明日」はない。 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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エンターテインメントは「受け手」が主語
映画制作や舞台制作など、あらゆるエンターテインメントの現場において、僕が常に注意を促している(というか、時に強く指摘している)のは、「お客さんは、それを待っていない」という点です。
これは創作現場における根深い問題のひとつで、多くのクリエイターは「自分が表現したいこと」を大切にしています。
それ自体は素晴らしい姿勢なのですが、一方で、取り組んでいるプロジェクトが「アート」なのか「エンターテインメント」なのかを明確にすることは、非常に重要だと僕は考えています。
たとえば、僕たちのプロジェクトでいえば、『ボトルジョージ』はアートであり、『えんとつ町のプペル』はエンターテインメントに属します。
この2つの領域を分ける基準は、「主語の違い」にあります。
アートは「作り手」が主語であり、自己表現や問いかけが目的となります。
一方で、エンターテインメントは「受け手」が主語であり、観客の体験や満足が最優先されます。
問題が起こるのは、「エンターテインメントを作る」という前提で集まった場において、一部のクリエイターが無意識に「アートのスイッチ」を入れてしまう時です。
そうした場合、僕は「ここは、その表現を試みる場ではありません」と明確に伝えるようにしています。
「予想を裏切ってみませんか?」これは誰一人として望んでない
たとえば、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の終盤で、「主題歌をあえて歌わないことで、観客の予想を裏切ってみませんか?」といった提案が持ち上がったとします。
#たとえばね
これは観客の誰一人として望んでないですよね。
「期待を裏切ること」は、エンターテインメントにおいて決して肯定されるべきものではありません。
でも、いるんです。「ここは、あえて」を言い出す「あえて族」が。
好きなアーティストのコンサートで、代表曲がアコースティックバージョンで演奏された時の微妙な空気を想像してみてください。
制作側は「新しい表現」として提示しているつもりでも、観客にとっては一生に一度の時間であり、求めていたものが届かない失望感の方が強く残ります。
「こちとら兵庫県川西市から、なけなしのお金を払って、家族分のチケットを購入して、家族で新幹線に乗って来て、高いホテル代も払って、次にこんなことができるのは数年後なのに、なんで、よりによって『あえてアコーステックバージョン』なんだよ」と。
エンターテインメントの本質は、「期待を裏切ること」ではなく、「期待を大きく超えること」にあります。
だからこそ、「お客様の期待を裏切る表現」は、この文脈では必要とされていないと、僕ははっきり伝えます。
ただその際、一部のクリエイターが反発することもあります。
「それなら自分でなくてもいいのでは?」とか、「創造するなということか」といった不満タラタラの顔をされることもあるのです。
しかし、これはクリエイターの表現や創造を否定しているのではありません。
「ステーキ屋を名乗る以上は、美味しい肉の焼き方を極めるべきであって、お寿司を握るのはやめない?」という、ごく当たり前の話をしているに過ぎません。
端的に言えば、「お客様との約束を守りましょう」という話です。
最も重要なのは「主語と目的を取り違えないこと」
もちろんその逆もあります。
「アート」という前提で作品を作るのであれば、作り手が主語であって然るべきであり、観客は多少置いていかれるぐらいでちょうどいい。
僕自身がアートを観る時も、「この作家は何を伝えたかったのか?」と考えたいです。
アートを観に行く時に望んでいるのは「答え」ではなくて、「問い」です。
それぞれの表現において最も重要なのは、「主語と目的を取り違えないこと」。
そのズレこそが、作品の不全感や観客の失望を生むのだと、僕は考えています。
僕は、スタジオ4℃さんとずっとアニメーションを作っているのですが、僕がスタジオ4℃さんの好きなところは、あの「アート集団」みたいな人達が、『えんとつ町のプペル』を作る時にはエンタメに全振りするところで、そこに、お客さんとの約束を守ろうとするプロの矜持を見ています。
これは、エンタメに限った話ではなくて、あらゆる業界で見られる事故だと思うのですが、エンタメ屋はもちろんのこと、レストランやケーキ屋さんやお花屋さん、その他あらゆるサービス業の方に、自戒を込めてお伝えしておきたいのは、サービスを続けている僕らにとってはたくさんあるうちの1日だけれど、お客さんにとってはその日は「年に一度の特別な日で、明日はない」ということを忘れずにいましょう。
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