原作者の痛み

2024年01月31日

書いた人:西野 亮廣 公式LINE

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原作者の痛み | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム

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原作者として「ここだけは分かっておいて欲しい」という気持ちを共有させてください

 
漫画作品のドラマ化をめぐって、とても悲しい出来事がありました。
 
「原作者」として作品に携わる経験が少なくない僕にとっては、今回の一件は、まったく他人事じゃなくて、本当に胸が苦しくなったのですが……ここで正義を盾に正論をまくしたててしまうと、それによって、更に悲しい結果を迎える可能性もあるので、犯人捜し・責任追及・私刑の類いは控えさせていただきます。
 
ただ、原作者として「ここだけは分かっておいて欲しい」という気持ちを1つだけ共有させてください。
 
現在制作中のコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』もそうですが、皆さんに知っていただいているところでいうと『えんとつ町のプペル』がそうなのですが、あの作品は、映画になり、ミュージカルになり、バレエになり、さらに現在は、英訳されて、ブロードウェイで鋭意制作中です。
 
メディアも、海もまたいで、いろんな形で届けられていて、僕は、その作品の「原作者」です。
 
もちろん、「メディアや海を渡る」ことを許可した以上、そのメディアや、その国に合わせて、原作がお色直しされることは承知の上です。
 
これは、ほぼ全ての原作者が理解しているところで、「一言一句変えてくれるなっ!」という人は、あまりいないと思います。
 
ただ、やっぱり作品の親としては「都会に送り出す不安」はあって、皆、我が子を預かってくれる人に対して「変な感じにしないでくださいね」と一言つけ加えているでしょう。
 
この時、難しいのが「変な感じ」の捉え方が、人それぞれだということ。
 
ある人にとっては「これぐらいはいいだろう」ということでも、原作者にとっては「それはダメ」ということは全然ある。
 
なので、原作者は作品を預けた後も、ずっと心配で心配で、“原作者にとって”変な感じにされてしまった時は世に出る前にイエローカードを出さなきゃいけなくて、気がつけば、クレーマーみたいになってしまう。
 
ただ、我が子を守りたいだけなのに。
 
僕は、それには耐えられなくて、なので、いつも「脚本」で参加して、時に「製作総指揮」、アメリカだと「プロデューサー」で参加しています。
 
現場に入って、現場の最終ジャッジをくだせるようにしてる。
 
そうしないと、作品が守れないので。
 
だけど、それでも、書き換えられてしまうことがあるんです。
 
「歌舞伎ではこうですよ」「バレエではこうですよ」「ブロードウェイではこうですよ」を理由に。
 
書き換えた相手に悪気が無いことは百も承知です。
 
皆、自分の名前を出して仕事しているので、皆、より良いものにしようとしてくれている。
 
でも、悪気がないからこそ厄介で、暴走するのはいつだって正義じゃないですか?
相手は正義で動いているので、原作者が「やめてください」と言っても、「なんで、なんで?」となっちゃうんですね。
 
でも、ここからが、原作者からのお願いなのですが、原作者が「やめてください」と言った時は、やめてもらえると嬉しいです。
 
 

良かれと思ってやってくださっていることが…

 
「誰かを守る為に言っている」というスタンスは卑怯だと思うので、僕の言葉で、僕自身の話をさせていただきます。
 
たとえば、『えんとつ町のプペル』という作品は、最初、誰からも求められなかったんです。
 
メディアで活躍している人達を横目に、誰にも知られることなく、0.03ミリのボールペンを握って、アトリエで1人で描きました。
 
あるタイミングで「絵本を分業制で作ること」を思いついて提案したところ、アンチはおろか、西野亮廣のことを応援してくれていた数少ないファンの方からも批判されました。
 
この物語には、挑戦することを選び、日本中から笑われて、殴られた過去や、認知症になっちゃった僕の婆ちゃんのことや、事故で失くした大切なスタッフのことや、初対面で第一声目に「友達になってください」と言ったラーメンズの小林賢太郎さんのことや、そのあと、二人で酔っ払って真夜中の新宿ロフトプラスワンに乗り込んだことなど、僕の極めて個人的な思い出を織り込んでいます。
 
そんな個人的な物語だから、「不味くて、食ってらんねぇ」という人もいると思うんです。
 
でも、僕としては、原作者としては、自分の心の針が大きく振れたあの時間は忘れたくなくて、とんでもなく大切な思い出で、そして、原作ファンの方も、その極めて個人的な物語に共感してくれて、メディア化するまで、海を渡るまで支えてくださっていて、原作者は、やっぱりこれらを守りたいんです。
 
お金が欲しかったら、もっと、お金になる仕事に就いているわけで、
チヤホヤされたかったら、もっとチヤホヤされる仕事に就いているわけで、
そんなものを引き合いに出されても、譲ろうとは思わないです。
 
大切な我が子を東京に送り出して、芸能事務所の人間から、「おたくの息子さんをデビューさせる上で、万人ウケさせる為に、美容整形しときました」と事後報告されて、「ありがとうございます」という親がいるわけないんです。
 
息子がそれを望んでいたのなら話は別ですが、そうじゃなかったら、親としては息子に対して「ごめんなさい。俺、お前を守りきれなかった」しかないです。
 
鼻が少しぐらいペチャッとしていても、タラコ唇でも、親は、その顔が好きなんです。
 
なので、親が「やめてください」と言ったときは、やめて欲しいです。
 
良かれと思ってやってくださっていることが、原作者にとっては、大きな痛みになっていることがあります。
 
原作を取り扱う際は、このことは知っておいてもらえると嬉しいです。
 
 
作品を良くしようと思ってくださっているスタッフの皆様、そして、たくさんの方に届けようとしてくださっているスタッフの皆様に心から感謝します。
 
 

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