株式会社CHIMNEY TOWNと株式会社幻冬舎で『パートナーシップ契約』を締結
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『主役を観るエンタメ』から『主役になるエンタメ』までの奮闘記 | 西野亮廣(キングコング)「西野さんの朝礼」/ Voicy - 音声プラットフォーム
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桃栗三年、柿八年、文化創造ほぼ十年
今日は「僕がずっと前から仕込んできたことが、ようやく少しずつ実を結んできました」というお話をすることで、「そんなに前から考えていたの?」ということと、「一つのことが実を結ぶまでに、こんなに時間がかかっちゃうのね」ということをお伝えしたいと思います。
僕が『えんとつ町のプペル』という物語を作ったのは2011年で、実は2012年にNON STYLEの石田君と共にサンリオピューロランドで『えんとつ町のプペル』の舞台をおこなっています。
舞台公演を終えてから、2016年に絵本が出版されるまで4年かかったわけですが、この間に、『えんとつ町のプペル』という作品は大きく形を変えました。
お客さんの反応を見ながらブラッシュアップしていったわけですが、ちょうどこの頃(2011年~12年)にクラウドファンディングが日本に入ってきて、エンターテイメントの形(お客さんが求めているもの)に変化が出てきたんです。
一言で言うと、「お客さんが自分で作りたがっている」といったところです。
作ったものをお客さんに届ける『レストラン型のエンタメ』から、お客さんが食べたいものをお客さんが作る『BBQ型のエンタメ』へと、お客さんのニーズが徐々に移行している現場を何度も目の当たりにしたんです。
当時は、クラファンのリターンで『エッフェル塔の個展の設営ができる権』みたいな(働ける権)みたいなのを出した時に、「詐欺」だの「宗教」だの散々言われたのですが、それはシンプルに時代がついてきていないだけで、エンターテイメントの最前線の現場では、「面白いものを作れる」「自分が作った面白いものを発信できる」が、「他人が作ったものをお金を払って受けとる」よりも遥かに人気がありました。
さっき『レストラン型』と『BBQ型』と言いましたが、もう少し解像度を上げた表現だと「主役を観に行くエンタメから、自分が主役になるエンタメへ」といったところでしょうか。
これに関しては日本だけじゃなくて、いくつかの国で試してみて、そこでも需要があることが確認できたので、まもなく、この時代がくることを確信しました。
「サプライズ要素」はカットする
そこから『えんとつ町のプペル』のスタッフに出した指示は大きく2つ。
1つ目は、「サプライズ要素をなるべくカットすること(サプライズをメインコンテンツにしないこと)」です。
サプライズというのは1回目が一番面白くて、2回目以降はその魅力が右肩下がりに落ちていきます。
「主人公(プレイヤー)になれる場所」の賞味期限が一回であれば、その場所はずーっと新規顧客を取り続けなきゃいけなくなるので、「サプライズ要素はカット」だと。
もっと細かい話をすると、「時代に合わせて変化をするのはプレイヤーで、場所は変化させちゃいけない。その際、新ネタ(サプライズ)マンセーの日本人が『いつまで同じことやっとんねん』と言ってくるだろうけど、全部無視しよう。僕らが勝つから」と伝えました。
「場所」のIPを取りに行く
それと、もう一つ。
『えんとつ町のプペル』を再設計する時に、「主役になれる場所に価値が出てくるから、キャラクターのIPを取りにいくんじゃなくて、空間(場所)のIPを取りにいこう」と伝えました。
キャラクターと場所の重要度は「3:7」だと。
映画やミュージカルを海外に持っていった時に、タイトルを「POUPELLE 」や「Trash Monster」にしませんか?という提案もあったのですが、返事は「NO」で、「タイトルを簡潔にしたいのであれば、残すのは、むしろ『CHIMNEY TOWN 』だ」と伝えました。
それだけの覚悟を持って「場所」を取りに行ったんです。
狙いがまるで理解されない時間帯も結構ありましたが、あれから10年近く経って、今、たとえば今週末におこなう『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』なんて、主役を観に行くエンタメではなくて、主役になりにいくエンタメで、出演者をまともに発表していないのに、幕張メッセに1万人以上が参加しています。
そして、ここから先はオンラインサロンメンバーさんへの業務連絡も兼ねているのですが、現在、『駅前開発×えんとつ町』や『メタバース×えんとつ町』の話もいただいていて、僕らが10年間かけて育てた『場所』が、様々なシーンで機能し始めています。
勝負はまだまだこれからですが、企画立案から、ここに至るまで結構走ったのに、それでも10年かかりましたので、皆様におかれましても、ちょっとやそっとのことで匙を投げないようにしてくださいな。
桃栗三年、柿八年、文化創造ほぼ十年…といったところです。
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